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人体プロジェクト

海外の教育現場で多く取り入れられている教育方法に、プロジェクト学習というメソッドがあります。あるテーマをひとつの大きなプロジェクトとして扱い、生徒が個人またはグループで「研究議題を見つける・調査する・まとめる・他者に発表する」という工程を踏み学習を進めるレッスンスタイルです。

今回は、プロジェクト学習を取り入れている、東京都国分寺市のSui International Preschool(※1)での取り組みの例を紹介し、日本の教育現場でも導入が進められるこの学習方法についてご紹介します。

※1 参考リンク

Sui International Preschool

プロジェクト学習はアクティブ・ラーニングの一環

2020年より新しい学習要領がスタートしますが、その中でアクティブ・ラーニングという学習スタイルが取り入れられていることは、当サイトでも以前取り上げました(※2)。

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新指導要領で「主体的・対話的で深い学び」と表現されているように、文部科学省が推進したいのは、能動的に学び、問題解決をする子供の力の育成です。

日本では比較的新しいこうした学習スタイルは、欧米諸国では、初等・中等・高等教育だけでなく、幼児教育の現場でも長年実践されているものです。 日本でも、社会の自由化・多様化に敏感なインターナショナルスクールや国際バカロレアの認定校などでは、すでにアクティブ・ラーニングの考え方が取り入れられています。その中でも特によく実践されている学習方法がプロジェクト学習です。

プロジェクト学習は、あるテーマについて、子供たちが自ら研究議題を見つけ、調査し、結果をまとめ、他者に発表するという一連の流れを通して行う学習方法です。英語でProject-Based Learning(PBL)と呼ばれるこの方法は、体験学習やディベート学習と並び、アクティブ・ラーニング・アプローチの一環として活用されています。

プロジェクト学習を繰り返し体験することで、子供たちは「研究議題や目標を自ら設定する力」「情報を集める力(調査する力)」「情報を見極める力」「問題解決する力」「協働する力」などを育んでいくことができます。
また、多くの場合、長期にわたり同じプロジェクトに関わることから、「ものごとを計画的に進める力」や「集中力」を養うことにもつながります。

プロジェクト学習を取り入れた小学生クラス

東京都国分寺市にあるSui International Preschoolのアフタースクールクラス(小学校低学年クラス)では、プロジェクト学習のアイディアが積極的に取り入れられています。年間カリキュラムをもとに定められた学習テーマに従い、2〜3ヵ月をかけてひとつのプロジェクトに取り組むのだそうです。

同校は、インターナショナル幼稚園およびプリスクールを主体とするインターナショナルスクールですが、午後は、このアフタースクールクラスをはじめ、近隣の他園や小学校に通う子供たちを対象としたレッスンも開講しています。こうした午後のレッスンに在籍する生徒たちの多くは、日本の幼稚園や小学校に通う、日本の家庭の子供たちです。彼らの母語はもちろん日本語。しかし、スクールでのレッスンは外国人のメインティーチャーにより指導され、すべて英語で行われます。

サイエンス(雲を作ろう実験)

プロジェクト学習の導入では、フィリピン出身の先生が自国の文化について紹介

ではプロジェクト学習型のレッスンは、具体的にどのように進んでいくのでしょうか?
例えば、同校のクラスのある学期のテーマは「自国の文化」でした。

従来の日本教育の典型的なスタイル、いわゆる詰め込み型のレッスンであれば、「教員が前に立ち、教科書をもとに国の歴史・風習・文化、もしくは各地方の特色などについて説明をする。生徒は、その知識をどれほど記憶しているかによって評価される...」という流れになるでしょう。

しかし、プロジェクト学習では、まずフィリピン出身の先生が、彼の自国の文化についてまとめたプロジェクトボードを生徒たちに示すことから始まります。写真やイラストなどを使いカラフルにまとめられたボードを手に、先生は自国・フィリピンの貨幣や地元の祭り、そこで見られる食事・服装・ダンスなどを紹介します。

すると子供たちは自発的に、「なぜお札がこんなにカラフルなの?」「この豚の丸焼きは何人分あるの?」「あの衣装、鳥みたいに見える!」「ところでフィリピンってどこにあるんだっけ?」といった疑問や意見を投げかけます。

フィリピンボード

子供たちがそれぞれの興味に従い研究議題を見つけ、調査方法を考える

ひとしきりフィリピンについて話をしたところで、先生は、
「さて、みんなは僕の国について少し詳しくなったかもしれないけれど、僕もみんなの国について知りたいな」
と言って子供たちをプロジェクトの本題へと導きます。

そこで子供たちに配られたのは、「My research topics」と題されたプリントです。
子供たちはまず、自国の文化について自分が調べたいことをリストアップするよう促されます。
各自がそれぞれの興味に従い「お菓子」「建物」「祭り」「車」「ロボット」「お寺」「学校給食」「ディズニーランド」「スカイツリー」「お花見」などさまざまなトピックを挙げていきます。この過程が「自分で研究議題を見つける」という力の育成につながります。

いくつか研究議題を出たところで、子供たちは次に 「調査方法」を考えます。「インターネットで検索する」「本で調べる」「家族に話を聞く」「専門家の元にインタビューに行く」など、それぞれのトピックに適した方法を探します。
ここでも先生はあくまで助言をするだけに徹し、子供たちの声を引き出していきます。

調査の中では英語で説明する方法を考える場面も

調査方法まで目処を立てたら、調査開始です。
先生の助けを得ながら、インターネットで検索したり、自宅から持参した書籍や記事の切り抜きから情報を収集したり、電話で専門機関に問い合わせるなど、様々な方法でじっくりリサーチを進めます。調査過程で日本語にふれる場面も出てきますが、バイリンガルの教員の助けを借り、その内容を英語でどのように説明するのか学び、英語力も高めていきます。同じ議題について調査する友達と情報交換したり、年上の生徒が年下の生徒を手助けしたりという光景も見られます。調査の過程で新たな疑問が生まれれば、学びのチャンス。さらに深く追求していきます。

調査結果をまとめて発表する過程にもたくさんの学びがある

調査・学習した内容は必ず何かしらの形でまとめ、発表します。
このプロジェクトにおいては、最初に先生が見せてくれたようなボード(厚紙で作られた見開き型ボード)にまとめることに。写真を貼る、絵を描く、ディスクリプションを書く...など、1枚のボードが、子供たちの生きた学びで満たされていきます。限られたスペースにどのように情報を配置するか、本当に重要な情報はどれか...。まとめるという過程の中にも、多くの学びが隠れています。

最後は発表です。クラスメイトの前に出て、ボードを見せながら英語で調査結果を発表します。発表前には小グループごとにプレゼンの練習時間も取り、どのように発表すればわかりやすく情報を伝えることができるのか(声の大きさ、視線など)友達と確認します。

クラスメイトの発表内容は、自分とは異なる興味関心から出発したもの。
「福岡県にはそんなお祭りがあるんだね」「富士山の高さを初めて知った!」
同じ日本という国についての発表であっても、友達の発表から新たな発見・学びを得ます。

人体プロジェクト2

プロジェクト学習の面白さ

同クラスのプロジェクト内容は、「惑星」「星座」「動物」「家紋」「国旗」など多岐の分野に渡ります。
プロジェクト学習の興味深い点は、骨子となるテーマが仮に理科に属するものであったとしても、調査の過程で子供たちが様々な教科の考え方にふれなければならないということです。

例えば、先ほどの自国の文化について調査するとき、ある子供が「富士山」という議題に取り組むとします。するとそのひとつのトピックから、子供は富士山の位置(地理)、標高や気温(算数・理科)、周辺観光名所(社会)、郷土料理(社会・家庭科)などさまざまな話題にふれなければいけません。さらに調査の過程でパソコンにふれ(テクノロジー学習)、情報を読み(国語)、もちろん英語力を高め、情報をまとめる際にグラフを作るようであればそこでもさらに算数の考え方にふれることになります。発表することでプレゼン力を高めることができるため、まさに総合的な学習を行うことができます。

また、同インターナショナルスクールでは幼稚園クラスでも同じくプロジェクト学習を取り入れているということです。
「家族の紹介をしよう」というような身近な話題なら、幼稚園児でもプロジェクト学習に取り組むことができます。
例えば、「自分の家族はどんなかな?」というテーマで、写真を使ったり絵を描いて、自分の家族についてまとめます。それをクラスメイトの前で発表します。すると、「Aくんの家族は3人います」「Bちゃんの家族は5人います」...これをクラスメイト分グラフに起こすことで、算数の学習につながります。また、「Bちゃんのお父さんはどこの国の出身かな?」「アメリカだね」「アメリカってどこにあるの?どんな国かな?」と、そこから社会科の勉強につなげることもできます。

国際バカロレアとプロジェクト学習の関係性

プロジェクト学習と密接なつながりがあるのが、国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)という教育プログラムです。(※3)。IBを導入しているIB認定校では国際的に通用する大学入学資格取得につながる教育が受けられるメリットがあります。
グローバル化が進行する中で日本の発展を担う人材を育成するため、IBは有益なツールとなり得ると考えられており、2013年に閣議決定された「日本再興戦略」の中でも、IBの認定校および認定候補校を大幅に増やすことが目標に掲げられています。

IBには4つのプログラムがありますが、幼稚園や小学校レベルを対象とするPYPプログラムでは、日本の学校でいう、国語、算数...といった、教科別の授業は行われません。その代わり、子供たちが自ら問題を探し、考え、問題解決する力を目指し、 「6つの学問的視点」(言語的視点・社会学的視点・数学的視点・芸術的視点・科学的視点・体育/道徳的視点)をカリキュラムに組み込むことが定められています。教科の垣根を越えたプロジェクト学習は、IBの規定を満たすために有効な方法といえます。
逆にいえば、だからこそIB認定校では、こうしたプロジェクト学習が積極的に取り入れられています。
国際社会で通用する人材が求められる時代の流れの中で、プロジェクト学習は今後もその重要性を増していくでしょう。

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