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キッズコーチング(後編)

前編に続き、日本キッズコーチング協会 竹内理事長に子どもの認知特性に合わせた学習法をお聞きします。
また、自己肯定感と自立心のある子どもを育むための接し方についてうかがいながら、自ら学び続ける人に育てるコツを探ります。


6.子どもの心が大きく発達する3歳から5歳

7.自己肯定感を身につける6歳

8.その子の特性に合わせた学びを

9.大人の役割は子どもを自立させること

10.自立を促すRQR(リピート・クエスション・リクエスト)


6.子どもの心が大きく発達する3歳から5歳

――子どもは3歳からはどのような発達をするのでしょうか?

2歳までに学びの基礎をつくった後、3歳からは生きる力、つまり学んだことを使う力を身につけます。
3歳は学んだことを試してみる年齢です。日本語でも英語でも覚えた言葉をお母さんやお父さんに使う様子が見られるのではないでしょうか。
周りの反応があると、より楽しくなって子どもは言葉を使いたくなるので、しっかり応えてあげましょう。

4歳ごろになると記憶力がぐっと発達するので、予測もできるようになります。「明日になったらお菓子を買ってあげる」といった、将来についての言葉を理解し、我慢ができるようになります。目標にむけて計画する力、努力する力も出てくるので、親が目標設定を促してあげると、その力を発揮しやすくなります。
例えば、イベントに参加する予定があるなら、「ネイティブの先生たちが来る楽しいイベントが来週あるから、それまでにお歌をうたえるようにしよう」という風に、子どものやる気を引き出すことができるのです。

そして、子どもは5歳ごろから周囲の人々の感情を感じ取り、共感する力をもつようになり、優しさを身につけるようになります。自分以外の他者への共感能力が育ち、「自分も頑張ったらできたから、お友だちもきっとできるようになる」と信じて応援したり、積み木などでお友達と一緒に何かを作ったりするようになります。

7.自己肯定感を身につける6歳

――子どもは6歳ではどのような発達をするのでしょうか?

自己肯定感が育ってくるのが6歳です。
自信は一人で頑張るだけでは得ることができません。「自分も努力をしたし、人にも応援してもらった」という経験が自己肯定感を育みます。
自己肯定感を持つと、自ら学び、努力を続けられる人になりますし、自分を信じられるとともに他の人のことも信じられます。
「自分もありのままでいいし、他人の意見も尊重できる」という感覚は共存のために必要な力ですね。
「子ども同士でおもちゃやお菓子を取り合いして困る」という相談を受けますが、こういった状況は自己肯定感を育てるチャンスです。
じゃんけんで決めたり、年上の子どもに我慢させたりするお母さんが多いのですが、それだと物事には勝ち負けがあることだけが子どもに印象づけられてしまいます。
そこで、取り合いなどの子ども同士の争いが発生したら、子どもたちの間でどうしたらいいかを考えさせ、自分たちで解決策を導きだすように促しましょう。
常に「他になにか解決策はないか」と考える習慣をつけると、答えはひとつではないことが体感的にわかります。
また、どんな状況でもきちんと交渉すれば自分の思いが通るという経験を積むことになるのです。
自分の考えを主張しても相手は損をしないWin-Winの生き方を学ぶと、他者との間に幸せな関係性を築けるようになりますよ。

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8.その子の特性に合わせた学び

――他の子と比べて発達が遅いことが不安なときはどうすればよいのでしょうか?

0歳から6歳までの発達を説明しましたが、もちろん、誕生日が来たから次の段階に進むというわけではありません。
発達段階に前後1歳ぐらいの個人差があるのは普通ですから、他のお子さんと比べる必要はありません。お子さんの様子をよく観察し、今はどの段階なのか見てあげるといいですね。
例えば、実験したくてしょうがない時期は、物を叩いたり引っ張ったりすることに困るかもしれません。でも、次の発達段階に行けばもうやらなくなりますから、思う存分やらせてあげてください。
また、3歳ぐらいまではその子が持っている特性が強く出ます。耳がいい子は歌などをすぐに覚えるし、視覚が優位な子は絵本が好きだったりします。
英語を学ぶ場合も、こうした子どもの特性にあわせてやり方を選ぶといいですね。例えば、触覚優位な子は肌に触れた感覚とともに覚えるので、ふわふわとしたぬいぐるみを抱きながら、英語の絵本を見たり、英語の歌の練習をしたりすると、ぬいぐるみを触った感覚とともに英語を覚えます。
発達段階の中でクリアできていない課題があるときは、後からやり直すことで歪みを修正することができます。
例えば、ある程度成長してもわがままな性格が強いと感じるときは、4歳のころに身につけることができる「我慢する」ということを学ぶ壁を乗り越えてない可能性があります。

9.大人の役割は子どもを自立させること

――子どもの自主性としつけ、どのようにバランスを取ったら良いのでしょうか?

子どもの「やりたい」という思いはとても大切な意欲ですから、飽きるまでやらせることが大切です。
でも、人の迷惑になってはいけないことを、子どもにきちんと分からせる必要があります。
例えば、水たまりに入りたがる男の子には、「水たまりは服や靴が汚れるから入ってはダメ。」と禁止するのではなく、汚れたら自分で洗うということを教えればいいのです。汚れた靴や服を洗うのは大変ですから、次第に自分で長靴などの汚れにくい衣服を選び、「やりたいこと」と「人に迷惑をかけないこと」を両立できるようになります。
このように自分で判断し、行動することが自立といえます。

「人の迷惑になること」の判断は時として悩ましい場合があります。迷惑になるかどうか、状況や関係者によって変わってくる場合もあるでしょう。
その場合は、「お母さんはそれをしてほしくないな」と自分を主語にした「I」メッセージで伝えることで、子どもを混乱させずに伝えるようにしましょう。

親の一番大切な役割は子どもを自立させることです。3歳ぐらいから「自分のことは自分でする」ということを教えていくと、小学校3年生ぐらいにはかなり多くのことを自分でできる、自立心のある子に育ちます。また、自立心がある子どもは、できないことを親や周りの人にやってもらったとき、自然と感謝の気持ちを持つようになり、周囲と良好な関係を築きやすくなります。

また、学習については、「楽しいとやりたくなる」という気持ちをうまく使って、楽しくなるように仕向ければ、子どもの自主性を尊重しながら学習に取り組んでもらうことができます。例えば、「英語を学ぶことは楽しい」と最初にインプットされていれば、自分から英語を学ぶようになりますし、得意になればさらに努力するようになります。最初に楽しさの体験をインプットするために0歳から6歳の間で英語に触れ、楽しむことは有効ですね。

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10.子どもを自立に導くRQR(リピート・クエスチョン・リクエスト)

――どのように接したら、子どもは自立しますか。

RQRと略される、「リピート」、「クエスチョン」、「リクエスト」の3つを上手く使って接すると、子どもの自立を促すことができます。
「リピート」では、子どもの言葉を繰り返し、子どもの気持ちを受け止めます。子どもが「お腹がすいた」と言ったら、まずは「お腹が空いたのね」と繰り返し、子どもの気持ちに寄り添うのです。要求が通らなくても、気持ちを受け止められるだけで気が済む子もおり、「リピート」は大きな力を持っています。

「リピート」で気持ちを受け止めたら「それで?」と「クエスチョン(疑問)」を投げかけ、次の会話を待ちましょう。
「おやつをちょうだい」などと、「リクエスト(要求)」がはっきり言える子もいますが、解決策がわからず「お腹が空いたって言ってるの!」という風に不機嫌に繰り返す子もいます。
そのときは「どうしたいの?」と聞いてあげましょう。もう一度「クエスチョン」です。
「クエスチョン」に対して「◯◯してほしい」と「リクエスト」できない子には、「どうする? 我慢する?」「ママに何か作ってもらう?」「歌で気を紛らわせる?」などと、なるべくたくさんの提案をしてあげましょう。こうした提案を受けて、解決策は一つではないことを子どもは理解していきます。
ぐずる前におやつをあげれば子どもはおとなしくしているでしょうが、子どもの考える力は育ちません。子どもがたくさんの解決策を持てるように小さいときから導きましょう。

なお、子どもとの接し方で「本当にこれでいいのだろうか」と悩んだら、「◯◯すべき」という固定観念にとらわれていないかチェックしてみてください。特に「母親なら◯◯すべき」という固定概念の影響は大きいです。固定観念にとらわれず、「子どもの自立を促しているか?」を問い直してみましょう。
お母さんが笑顔でいることが子どもにとっては一番です。肩の力を抜いて楽しく子どもと接していきましょう。

後編まとめ

2歳までに学び方を身につけた子どもたちは、3歳からは学んだものを使う力を身につけ、5歳ごろからは周りと協力して行動できるように成長していきます。
また、幼い頃に「英語を学ぶことが楽しい」とインプットされていると後々子どもが自発的に学習する原動力になります。
子どもの発達段階が今どこか確認しながら、RQRの話法を使ったりして子どもと向き合っていくことで、子どもの自立を促すことができるようです。


竹内理事長近影2
プロフィール:竹内 エリカ(たけうち えりか)

一般財団法人 日本キッズコーチング協会 理事長。
お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。20年にわたり子どもの心理、教育、育成について研究し、子どもから大学生まで約9,000人を指導。
「あそび学」を専門にし、あそびによる発達診断、プレイセラピー、運動支援プログラムの研究開発・執筆に携わり、海外での教育国際会議の研究発表などにも参加する。
結婚・出産をきっかけに子どもの育成と母親への支援を目的として一般財団法人日本キッズコーチング協会を設立。
発達心理・表現教育・行動科学の専門家の協力を得て、0歳から6歳までの子どもの認知特性を活かした指導法「キッズコーチング法」を考案、実践する。
2児の母。
著書に『子どもの性格を決める0歳から6歳までのしつけの習慣』(カンゼン、2013年)、『男の子の一生を決める0歳から6歳までの育て方』(中経出版、2015年)、『女の子の一生を決める0歳から6歳までの育て方』(中経出版、2015年)などがある。

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