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コロナ禍を経たビジネス界の「英語公用語化」第2波

コロナ禍は、私たちのライフスタイルのいたるところまで変化をもたらしています。
ビジネス界では業務の見直しや再配置が行われています。すでに一部で取り入れられていた「英語社内公用語化」を、今コロナ以前とは違う形で実施している企業があります。
「英語公用語化」の必要性とは、リソースの獲得、事業展開や狙いとは何でしょう?
新聞記事から見てみましょう。


英語の社内公用語化「第2波」来た?

衣料品店ユニクロを運営するファーストリテイリングや楽天グループが、英語を社内の公用語にすると宣言して話題になったのは10年ほど前。一方で最近は、外国人が多い部署などに限って公用語化する動きが広がり、「第2波がきている」と話す業界関係者もいる。背景には何があるのか。

エンジニア不足 海外から採用狙う

「試作段階のシステムが動かなかった件ですが、プログラムのこの箇所に問題があるのが原因でした」
クラウドサービスを手がけるマネーフォワードの東京都内の本社で、あるエンジニアが英語で同僚に話しかけた。「なるほど。見つけるのが早いね」。同僚も英語で応じた。

インド出身のこのエンジニアは、現地の工学系大学を卒業した。同級生の大半は欧米企業に就職したが、就職フェアでマネーフォワードと出会い、「日本語がわからなくても大丈夫というので興味をもった」という。

同社では昨年秋から、社員約2千人のうち3割を占めるエンジニアがいる部署の公用語を、英語に切り替え始めた。2024年中に移行を終える予定だ。

対象部署では、会議で1人でも日本語を話せない人がいれば英語を使う。日本人社員には週1時間、無料で外部の英語の授業を受けさせ、仕事中にその宿題をこなすことも認める。

きっかけはエンジニアの人手不足だった。日本人だけでは必要数を採用できなくなったため、英語を公用語にすることで外国人材を確保しようと考えた。

もともとエンジニアは日本人でも英語で書かれた米国発の最新情報を調べることが多いという事情もあり、社内で大きな反発はないという。

「必要な人だけに対象を絞り、納得感があったのが大きい。全社的に英語に切り替える話にはなっていない」(広報)

デジタル化が進む中、エンジニアの不足感は強まっている。転職サービス「デューダ」によると、IT・通信業界のエンジニアの転職求人倍率はコロナ禍前の5倍超から上昇傾向で、昨年秋からは10倍を上回る。

IT企業サイボウズは昨年秋、英語を公用語とする部署を新設した。海外展開を視野に入れた新事業の開発を担う。エンジニアを募集したところ、世界から約500件もの応募があった。広報は「海外は日本よりコンピューターサイエンスを学ぶ人が多いこともあり、応募者のスキルが髙い印象だ」と話す。現在は部署の15人中10人がエンジニアで、うち5人は外国語が母語だという。

サッポロビールは24年に、国際事業本部(社員約50人)の公用語を英語にする予定だ。
広報は「海外事業の成長が重要テーマになっており、社内外で英語でコミュニケーションをとる機会が増えるため」とする。

第一波は全社 今回は部署

企業の英語活用を支援するプロゴス(東京)の会長は「約10年前の楽天などの動きを英語公用語化の『第1波』とするなら、昨年ぐらいから『第2波』が始まっている」と話す。コロナ禍が落ち着き、事業拡大や新規事業を始める上で、公用語化に動いた企業が多い印象だという。

「第1波」は全社的に公用語化するケースが多く、「英語を使わない部署や人材にまで一律で求めるのはおかしい」(IT大手広報)といった批判も強かった。

それに対して「第2波」は、採用難のIT人材がいる部署や国際部門などに限る企業が目立つという。会長は「10年前より人手不足感が強く、国内の人口減や少子化が進み、企業が成長するために海外展開する必要性も高い。今回の動きは、かなり広がるのではないか」と話す。
(後略)


直接会話して好アイデア
日本人は敬遠 能率低下も

英語を公用語にした企業では、どんなメリットやデメリットを感じているのか。

IT企業のヘンゲ(東京、社員約270人)は16年に全社で英語を公用語にした。採用が難しくなっていたエンジニアを確保する狙いだった。

その結果、外国人エンジニアの採用が進み、14年には全体の1%ほどしかいなかった外国籍の社員が、現在では2割を超えている。

ただ、日本人エンジニアの中には「英語化」を敬遠する人もいて、採用は以前よりさらに難しくなった。反発して会社を辞めた人もいた。

日本人社員が英語を学ぶ動機付けにしようと、英語のレベルに応じて手当を支給してきた。それでもやはり、社内で情報を伝えるスピードは落ちたという。「日本語なら3分で終わることが、英語だと30分かかる。ニュアンスの違いも伝わりにくく、情報共有が課題になった」(広報)

その危機感から昨夏、英語手当を最大で年108万円にまで拡充した。広報は「高額の手当てを出すぐらいなら英語を公用語化せず、社内に通訳を置いた方が安上がりかもしれない。だが、日本人と外国人が直接やりとりすることで、いいビジネスのアイデアが生まれたり課題を解決できたりするメリットの方が大きいと考え、ぶれずに続けている」と話す。

朝日新聞 2023年5月22日 くらし面
石山 英明記者

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