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小・中学校でも導入が進む「TOEFL Primary(R)」とはどのようなテスト?

海外留学や国内の大学進学などに有利な英語能力測定試験として知られているTOEFL®(トフル)。
実はこのTOEFL®にはさまざまなシリーズがあるのをご存知ですか?中でも英語学習の初級者向けに開発されたTOEFL Primary®(トフル プライマリ)は、TOEFL®のファーストステップとして英語教育に熱心な小・中学校をはじめ、英語塾などでも導入が進んでいます。

今回は、2014年から日本国内で運用が始まったTOEFL Primary®について、テストを主催するグローバル・コミュニケーション&テスティングの梅澤直臣さんと武西まゆさんにお話を伺いました。


Q1. TOEFL Primary®とはどのような試験ですか?

Q2. 受験するのはどのような子供たちですか?

Q3. 事前の試験対策は必要ですか?

Q4. 試験を受けることでどのようなメリットがありますか?

Q5. TOEFL iBT®までのステップについて教えてください。

Q6. これから受験する子供たちへのアドバイスをお願いします。



Q1. TOEFL Primary®とはどのような試験ですか?

小・中学生を対象に英語学習の成果を国際評価基準で測る

武西さん:TOEFL®は英語学習レベル別に大きく4種類のテストで構成され、すべてを合わせて"TOEFL®ファミリー"と呼んでいます。
世界150ヶ国以上で年間約3,500万人が受験するTOEFL iBT®を頂点に、高校や大学のクラス分けなどに用いられるTOEFL ITP®、中・高生を主な対象にしたTOEFL Junior®、そしてTOEFL®の中でも英語学習の初級者を対象に作られたTOEFL Primary®です。

<TOEFL®ファミリーの対象例>
TOEFL iBT®:主に(高校生)・大学生・社会人
TOEFL ITP®:主に高校生・大学生
TOEFL Junior®:主に中学生・高校生・(大学生)
TOEFL Primary®:主に小学生・中学生

TOEFL Primary®は、英語を母語としない世界の小・中学生を対象に、現在47ヶ国以上で実施されています。主に「読む」「聞く」の2技能における英語学習の成果を、国際的な評価基準で測るテストです。

アジアやヨーロッパを中心に各国で英語学習開始の早期化が進むなか、より早い段階から英語の力を測るテストを求める声が高まり、他のシリーズと同様に米国の教育団体ETS(Educational Testing Service)によって開発されました。

日本では2014年から運用が始まり、ここ1~2年で学校や英語スクールなど、英語に力を入れている教育機関での導入が拡大ています。


Q2. 受験するのはどのような子供たちですか?

日常生活で使う初級レベルの語彙力・文章力を英語で問う

武西さん:年齢の目安は8歳からとなっていますが、実際には年齢制限はなく、幼稚園児の受験者もいます。英語学習に興味をもつお子さんから、英語を学び直したいと考える大人の方まで幅広く受験されています。

TOEFL Primary®には『ステップ1』と、やや難易度が高い『ステップ2』の2つのレベルがあります。どちらの試験でも「リーディング」と「リスニング」に加え、オプションの「スピーキング」を含めると3つの領域で英語の力を測定します。

説明文や問題などはすべて英語ですが、子供の日常生活や学校生活題材にした身近な内容になっています。
たとえば、かけっこやボール遊び、学校での授業の様子などの絵を見て、何をしているのか問うような問題が出されます。最初は難しく感じるかもしれませんが、質問の意味が理解でき、集中して試験に取り組めるお子さんであれば問題ありません。

Reading

Look at the picture.
Read the words.
Which words go with the picture?
Fill in the correct circles on your answer sheet.

1
Let's do two example questions.TOFELテスト例

(A)The boy is drawing a picture.
(B)The boy is taking a photo.
(C)The boy is talking on the phone.
The answer is "B." Fill in "B" on your answer sheet for 1.

2
What does the arrow show?
TOFELテスト例

The boy with the arrow is ahead of the other boy.

(A)Ahead
(B)Beside
(C)Under
The answer is "A." Fill in "A" on your answer sheet for 2.

ステップ1のサンプルテスト。身近なシーンに関する語彙力を問う問題が出題される

TOEFL Primary®ステップ1・ステップ2のテスト内容
<ステップ1>
学校、自宅、遊び場など身近なシーンで使う基本的な定型表現、日常的な物や人に関する語彙力、短く簡単な文章を書く力を問う。
リーディング:39問
リスニング:41問  
解答時間:60分

<ステップ2>
英語で多少のコミュニケーションができる生徒を対象に、複雑な文章やあまりなじみのない単語を含むストーリーの理解力、内容重視の簡単な文章力などを問う。
リーディング:37問 
リスニング:39問 
解答時間:60分

※いずれもペーパーベース・三択マークシート方式テスト
※スピーキングのテストはオプションで受験可能


Q3. 事前の試験対策は必要ですか?

Q3. 事前の試験対策は必要ですか?

試験対策より出題形式に慣れておくための準備を

武西さん:試験のために特別に勉強する必要はありませんが、ステップ1、2ともにマークシート式で、スピーキングテストでは簡単なパソコン操作が必要になります。あらかじめ出題形式に慣れておく方が安心かもしれません。
TOEFL Primary®を導入されている教育機関では、実践テストが含まれた問題集やTOEFL Primary®公式ウェブサイトの無料テストサンプルなどを使って、テストの1ヶ月くらい前から準備をするという話も聞きます。

梅澤さん:TOEFL Primary®だけに限らず、TOEFL®ファミリーのテストは記憶した知識や語彙だけを試すものではなく「どれだけ英語が使えるか」を測るテストです。
現在身についている英語の実力を測定するので、基本的には予習に力を入れる必要はないと考えています。絵で構成された問題が多いので視覚的にもわかりやすく、子供たちはクイズに答えるような感覚で楽しみながらチャレンジしています。


Q4. 試験を受けることでどのようなメリットがありますか?

苦手な分野を客観視して今後の課題と次の目標を把握する

武西さん:普段の英語学習がどの程度身についているのか、子供の英語のレベルはなかなかわかりにくいのではないでしょうか。英語能力測定試験を受ける目的のひとつは、現在の英語力を把握し、今後の課題を明確にすることです。
お子さん自身も自分の実力や苦手な分野を客観視することで、「次はこれをやろう」と英語学習に前向きに取り組むことができます。

TOEFL Primary®の受験者からは「リーディングができなかったから英語の絵本をたくさん読むことにした」「これから単語をノートに書きまとめながら身につけ」「次のテストではあと10点アップを目指したい」といった声が寄せられ、試験が励みになっている様子が感じられます。

英語学習の初期段階から世界基準の英語力を測る

梅澤さん:TOEFL®のテストは合格・不合格ではなくスコア(点数)とバンドレベル(段階別評価)で示されます。
TOEFL Primary®では「リーディング」や「リスニング」を4~5段階のスコアで表示し、前回と比べてどのくらい伸びたのかがひと目でわかるようになっています。またスコアは外国語の国際的な評価基準であるCEFR(※)に則って表示され、リーディングスコアは英語読解力を示すLexile®(※)指数とも連動しています。TOEFL Primary®ではCEFR A1未満~B1レベルの英語運用能力を測ることができます。

後日自宅に届くオフィシャルスコアレポートには、各レベルの説明や学習アドバイスを記載した日本語版スコアレポートも付いているので、テストの振り返りや今後の英語学習に役立つでしょう。

※CEFR:ヨーロッパ言語共通参照枠。外国語力を評価する国際指標。
※Lexile®:英語の「読解力」と「文章の難易度」を示す指標。英語書籍などの多読や読解力の向上につながり、世界約180ヶ国で使用されている。

オフィシャルスコアレポート

オフィシャルスコアレポートの例


Q5. TOEFL iBT®までのステップについて教えてください。

Q5. TOEFL iBT®までのステップについて教えてください。

国際社会で使える英語力を育む「4段階のテスト」ステップ

武西さん:TOEFL Primary®はTOEFL®の入門編ですが、次のステップとして、世界の中・高生を主な対象としたTOEFL Junior®があります。
『スタンダード』と『スピーキング』の2種類に分かれ、『スタンダード』は「リスニング」、「文法・語彙」、「リーディング」の3つのセクションで構成されています。一方『スピーキング』は「発音」や「聞く・話す」技能を測定するテストで、パソコンを使用して4つの設問に回答します。

『スタンダード』のテスト内容はTOEFL Primary®と同様に、日常会話や学校生活などから出題されますが、実際の英語圏での会話を想定した問題や自然科学、社会科学や芸術分野といったアカデミックな要素が増え、TOEFL iBT®の前段階のテストという位置付けです。

TOEFLファミリーのファーストステップ

TOEFL Primary® Step 1・Step 2 は、CEFR A1未満~B1レベルの英語運用能力を測るTOEFL®ファミリーのファーストステップ

早くから問題傾向や形式に慣れてレベルアップを目指す

梅澤さん: TOEFL®ファミリーの頂点に位置するTOEFL iBT®外留学を目指す学生だけでなく、日本国内の大学・大学院の入試、就職活動まで広く活用されている信頼性の高いテストです。一方で日本人にとっては難易度が高く、なかなかスコアが上がらないという声も多く聞きます。
テスト内容も大学や大学院で学ぶようなハイレベルな内容が増え、英語圏での学校生活に関する知識や語彙が必要になります。

日本人の学生が最初からTOEFL iBT®を受験するのはハードルが高いかもしれませんが、早い段階からTOEFL Primary®やTOEFL Junior®を通して問題の傾向や形式に慣れることで、将来的にTOEFL iBT®を目指してレベルアップしていける設計になっています。
長い目で英語力の伸びを確認し、実社会で必要な思考力が身につくように考えられたテストなのです。


Q6. これから受験する子供たちへのアドバイスをお願いします。

テストは終わりではなく英語の継続学習のきっかけ

武西さん:子供が英語圏の文化や「海外留学」を疑似体験していかのような問題が多いので、ぜひ楽しみながらテストを受けてください。
またTOEFL Primary®には友達や先生との接し方など、英語でのコミュニケーションの方法が学べる問題もたくさんあります。テストを受けて終わりではなく、英語の継続学習のきっかけとして役立ててほしいと思います。

毎日積み重ねてきた練習の成果を「テスト」で測る

梅澤さん:TOEFL iBT®においては全世界の国別スコアランキングを見ても、ここ数年日本人の順位は変わらず、アジア29ヶ国では下から3番目という現状があります。
しかし2020年度から小学校の英語が教科となるなど、日本の英語教育の環境が整いつつあります。

英語を身につけるには、聞いたり、読んだり、話したりしながら英語にたくさんふれることが大切です。そのために我々大人も努力しなければなりません。
英語にふれる環境があれば、子供たちは相手に気持ちを伝える喜びと、相手の気持ちを理解する喜びを味わうことができます。1日10分でもいいので、ご家庭でも英語で会話する時間を作ってはいかがでしょう。

英語学習はスポーツと一緒です。ルールや道具の使い方を学ぶだけでなく、練習や試合を繰り返すことで上達します。英語の習得も同じで、単語や文法を覚えただけでは使えるようにはなりません。
毎日積み重ねてきた練習の成果を「テスト」で測ることは、英語力の上達につながります。そして英語というスキルを武器に、世界で活躍できる人を目指してください。

取材を終えて

TOEFL Primary®は2013年にブラジルと韓国で実施され、各国で導入が進められている新しい試験です。英語教育の早期化が進むなか、英語学習を本格的にスタートしていく際のよきサポート役といえるのではないでしょうか。また、英語圏の文化を疑似体験できる出題内容は、子供たちに新鮮な刺激を与えてくれそうです。
「我が子に英語の腕試しを」というときの選択肢として検討されてはいかがでしょう。


梅澤直臣さん、武西まゆさん

プロフィール:
梅澤 直臣(うめざわ なおとみ)(写真 左)
TOEFL Primary®、TOEFL Junior® Standardを運営するグローバル・コミュニケーション&テスティング代表。新潟県出身。30年以上もの長きにわたりTOEIC®、TOEFL Primary®、TOEFL Junior®などのテスト事業をはじめとする日本の英語教育に関わり、2015年に誕生した大阪英語村"OSAKA ENGLISH VILLAGE"(2021年2月閉館)の初代館長も務める。2016年4月より現職。

武西 まゆ(たけにし まゆ)(写真 右)
グローバル・コミュニケーション&テスティング 普及推進部において学校・団体でのテスト実施に関する営業活動を担当。高知県出身。アメリカの大学を卒業後、2004年に株式会社公文教育研究会入社。公文式教室のコンサルティング職、広報部、リクルート職を経て2019年より現職。毎朝、年長と年少の子供の公文式学習を見守る中で、幼児期の吸収力と大人の予想を超える成長を実感中。

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