TEAPは、「大学教育レベルにふさわしい英語力を測る」ことを目的に開発されました
現在行われている大学入試センター試験は2020年1月実施を最後に廃止となり、それ以降は新たな試験が採用されることが文部科学省から発表されています。特に英語は、これまで日本での教育が「聞く」「読む」が中心だったことから、「話す」「書く」も含めた4技能を総合的に育成・評価されることが重要であるとされています。
とはいえ、「話す」「書く」という技能を限られた時間内で評価するのは簡単ではありません。そこで、民間の資格、検定試験が活用される見込みです。すでに外部試験として利用されている英検やTOEFL、TOEICに加えて、「アカデミック英語能力判定試験」、通称「TEAP」(ティープ)を導入する大学が増えています。
TEAPは、「大学教育レベルにふさわしい英語力を測る」ことを目的として上智大学と日本英語検定協会が共同開発したもので、2014年度から実施されている試験です。
この試験は、上智大学・早稲田大学・立教大学・青山学院大学など、多くの大学の入試で採用が進んでいます。
基準スコアを満たせば入試で英語を満点とみなす大学も
TEAPの試験が行われるのは年3回。7月、9月、12月を目処に実施されます(2017年は10月1日に第2回試験実施予定)。受検対象者は高校2年生以上で、Listening test、Speaking test、Reading test、Writing testの4つのテストにより英語能力を判定します。
●Listening test :マークシートによる択一選択方式(時間:約50分)
●Speaking test :1対1の面接方式(時間:約10分)
●Reading test :マークシートによる択一選択方式(時間:70分)
●Writing test :解答用紙への記入(時間:70分)
また、コンピュータで受験するTEAP CBTというテストもあります。より実践的な英語運用能力を測定するため、技能を組み合わせた総合型の問題が出題されるのがTEAP CBTの特徴です。
TEAP、TEAP CBTともに成績表には「スコア」と「バンド」の2種類が表示されます。スコアは異なる機会に受けても統一した尺度で評価できるよう、標準化されたものが技能ごとに表示されます。バンドとは英語力を評価する国際指標「CEFR(※1)」のどのレベルにあるかを評価するもので、A1からC2まである6段階のうちTEAPではA2からB2までの英語力が測定されます(※2)。
さらに成績表には学習のアドバイスと「TEAP Can-do statements」が記載されており、今の英語力で具体的にどのようなことができるかの目安になります。
これらのスコアには有効期間があり、TEAPを受験した翌年度および翌々年度の大学入学に利用が可能です。
入試におけるTEAPの利用方法は大学、学部、また入試形態によって異なります。出願資格としているケース、得点加算するケース、得点換算されるケース、さらには基準スコアを満たせば英語を満点とみなすケースもあります。入試当日に英語の試験を受ける必要がないのは、大きなアドバンテージになります。
TEAPを入試に利用する大学は年々増えており、早い段階から英語の能力を高めておくことが、大学入試を有利に進める上でより重要になってくると考えられます。
※1 CEFR(Common European Framework of Reference for Languages):
CEFR=ヨーロッパ言語共通参照枠は、 欧州評議会で提唱された言語学習者の習得状況を示す際に用いられている国際指標のこと。
その目的は、ヨーロッパのすべての言語に適用できるような学習状況の評価や指導といったものの方法を提供することである。
透明性が高く、分かりやすい、包括的な評価基盤を提供するものとして、欧州域内外で使われている。
※2 CEFRの「共通参照レベル」:
A1・A2を基礎段階とし、A1<A2<B1<B2<C1<C2とレベルが高くなっていく。
参考リンク:公益財団法人 日本英語検定協会 TEAPおよびTEAP CBT採用大学一覧
※本記事については記事掲載時点の情報です。
2019年11月1日付で文部科学省は、2020年度からの「大学入試英語成績提供システム」導入の見送りを発表いたしました。
最新情報は、新しい記事でお届けいたします。(2019/11/15加筆)