専門家の先生による、英語教育に関する記事

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今回の玉川大学 佐藤 久美子先生のエッセイでは、アメリカの子供たちのHalloweenの楽しみ方や、Halloweenにまつわるお話の絵本のご紹介です。
また、『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』コーナーでは、「娘の集中が続かず、アクティビティ中にふざけてしまいます。」というご質問にお答えしています。お子さんの集中力が切れてしまうときの切り替えるコツを教えていただきました!

Halloweenというと、「仮装をして、街を歩いたり、パーティーをしたりするイベント」、あるいは「子供たちが、家々をたずねて、お菓子をもらうイベント」というイメージがあるかと思いますが、元はどんな意味があるのでしょうか?
また、Halloweenというと、特にアメリカの子供たちはどんなパーティーをするのでしょうか?そこで、今回はHalloweenのことをご紹介します。

さらに、日本でも盛んになってきたHalloweenでは、親子でちょっと怖い本を読んで楽しむことをおすすめします。様々なHalloweenにまつわる本や、その楽しみ方もご紹介したいと思います。

■Halloweenって何?

Halloweenの語源は18世紀後半にさかのぼり、"All Hallow Even"の短縮形です(ODEより)。hallowは「聖人」、eveneve、「前夜」の意味なので、"All Hallows' Eve", "the eve of All Saints' Day" の意味です。そこで日本語では、「万聖節の前夜祭」と訳され、10月31日の夜がそれに当たります。

このような風習は古代ヨーロッパにさかのぼり、人々は、万聖節の前夜に死者が墓から蘇り再び家を訪ねたり、魔女(witches)や悪魔(demons)、幽霊(ghosts)、黒猫(black cats)が夜に歩き回ったりすると信じていました。そこで司祭たちが悪霊を追い払うためにたき火を燃やし、死者が戻らないように食べ物を与えました。

明かりをともす習慣は、jack-o-lantern(カボチャちょうちん)にも見られるかもしれません。家族でオレンジ色のかぼちゃを顔の形にくりぬいて穴をあけ、ろうそくをともして窓辺などにかざるのが、Halloweenの伝統です。

こうした習慣が19世紀後半までにアメリカに紹介され、現在では宗教的な意味合いは薄く、"Trick or treat. "(お菓子をくれないといたずらするよ)と言いながら、衣装を身につけ家庭をまわり、お菓子をもらう、子供のお祭りになっています。

イギリスでは、Guy Fawkes Night(ガイ・フォークス祭、11月5日)の方が盛んです。またいつか、このお話も紹介しますが、イギリスの子供はガイ人形を作り、"A penny for the Guy. "(ガイにペニーをください)と言って帽子を差し出しお金をもらい、当日の夜に、この人形を焼くのでBonfire Night(たき火の日)とも呼ばれています。

■アメリカの子供たちのHalloweenの習慣は?

衣装を身につけ、お菓子をもらいに行くお話はしましたが、さらに、パジャマ・パーティ―なども行うそうです。お友だちの家に泊まり、パジャマで、怖いストーリーのDVDを見たり、音楽を聞いたりして楽しみます。

また、小さい子供たちには、パパやママがおばけや魔女が出てくる怖い絵本を読みます。日頃は、ママが絵本を読んでくれることも多いと思いますが、パパが低い、怖そうな声で読む絵本は子供にとても人気があるようです。

■Halloweenの日に読みたい絵本

Halloweenにまつわる絵本や、怖い怪物などが出てくる絵本は、たくさん出版されています。

GO AWAY, BIG GREEN MONSTER! (Ed Emberley 作)は未就学児に人気があります。
"Big Green Monster has two big yellow eyes."
(大きなみどりのモンスターには、二つの大きな目があります)
という文で始まり、顔のパーツが次々加えられ、最後に怖いモンスターになります。
その後、"GO AWAY, big green Face!"などと、顔のパーツを次々に消していき、最後には小さな点が二つ残るだけ、というお話です。

後半は、一緒に"GO AWAY!"と言いながら一気に読み進めます。怖いモンスターのパーツがどんどんなくなり、最後は可愛らしい瞳になるので、大人も子供とともに十分に楽しめるよくできた一冊です。
怖い声色で読むと、子供はとても喜びますよ。
他にも、特に未就学児~小学校低学年には以下のような本がお勧めです。

What's in the Witch's Kitchen?(Nick Sharratt 作)
しかけ絵本になっており、
"What's in the toaster in the Witch's kitchen?"
(魔女の台所にあるトースターには何が入っているの?)
といったお話にそって、右に開けたり左に開けたりすると、びっくりするものが、現れてきます。
   
BEARS IN THE NIGHT(Stan and Jan Berenstain 作)
Berenstainは、子供用の多くの絵本を書いていて、世界的なBest Seller作家です。
この絵本は、クマの一家が主人公となっており、子供たちが夜の森を冒険してベッドに戻ってくるというストーリーになっており、暗い森の中を歩く様子はハラハラ、ドキドキがいっぱいです。
また前置詞が自然に学べる一作となっています。

Clifford's First Halloween(Norman Bridwell 作)
Clifford!のシリーズは、たくさんありますが、1ページあたりの字数が少ないので、未就学児にもお勧めです。表紙に大きなjack-o-lanternが描かれていて、Halloweenの気分を盛り上げます。

FROGGY'S HALLOWEEN(Jonathan London & Frank Remkiewicz 作)
Froggyのシリーズも、子供たちに人気です。この本は、字数がやや多いので、   
読み聞かせは少し難しいかもしれませんが、子供たちがどんな気持ちでHalloweenを楽しみにしているかよくわかる一冊で、保護者の方にもお勧めです。

Boo Who?(Joan Holub 作)
Halloweenに出てくるwitchなどの基本的な単語だけでほぼストーリーができている、しかけ絵本なので、未就学児にもおすすめです。

IN A DARK, DARK HOUSE(Jennifer Dussling & Davy Jones 作)

この絵本は、夜の冒険の話ですが、単語の部分にイラストが描かれていて、単語を一緒に声に出して読める楽しい本です。
小学校低学年におすすめです。

この他にも、Halloween関連の本はたくさん出版されていて、イラストがかわいいものも多いのですが、絵本を選ぶ際には、まずは次のことを参考に選んでください。

① イラストは具体的で、色彩の鮮やかなものを。
大人はパステル調を好みますが、子供は色彩が鮮やかなものを好みます。
ストーリー性の高い本の場合は、具体的で、しっかりと描かれているイラストがお勧めです。

② 1ページあたりに、字数の多いものは避ける。
どんなにかわいい、子供らしい本でも、1ページあたりに字数が多い、文が複数出てくるものはおすすめしません。
読み聞かせの途中で、子供が飽きてしまいます。

読書の秋がやってきました。ぜひ、お子さまと読書をお楽しみください。


『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』
第26回:娘の集中が続かず、アクティビティ中にふざけてしまいます。

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◆DWEユーザーの方からのご質問◆

5歳の娘ですが、英語の質問に答えたり、色塗りをしたりなどのアクティビティをしている時に、30分でも集中することが難しいようで、がんばって取り組んでいるように見えません。(他の物に興味がいってしまう)
他の遊びをするのなら、流しているDVDを消そうかと思いましたが、本人は「見てるから消さないで!」と言います。
子供と一緒に楽しもうと私もアクティビティに参加しますが、それでも子供はおふざけが始まってしまいます。

英語を楽しんでほしいので、無理強いしないように気をつけてはいますが、ふざけているのをみると、どうしても注意してしまう母(自分)です。
娘の集中力をよくする方法はありますか。

◆佐藤先生のご回答◆

5歳という年齢を考えると、お子さまはごく普通だと思います。

小学校1、2年生でも、小学校の英語のクラスでは同じような態度が見られます。
先生がお話していても、お友達とつい話してしまう、ゲームなどが始まると、最初は集中していますが、だんだん飽きてくると騒いでします。まして、5歳児ですので、30分持てばよい方だと思います。

お上手な担任の先生方の授業を拝見すると、1回のアクティビティの時間が非常に短いです。例えば、1分間お友達と会話させ、またお友達を変えて、1分間会話させます。

上手に英語を指導している幼稚園では、毎日10分のレッスンを行っています。これならば、歌を歌って、少しアクティビティをしただけで終了です。子供たちは、「もっと英語がしたい!」と言います。

短い時間で、毎日繰り返すことをおすすめします。
また、他のおもちゃは片づけてアクティビティをする、10分程度行い、終わったらすぐにやめる他のおもちゃで遊ぶ、この流れをぜひ試してください。
そして、その効果をまた教えてくださいね!


佐藤先生近影

佐藤 久美子先生

玉川大学大学院 教育学研究科(教職専攻) 脳科学研究所 教授。
長年、子供の言語獲得・発達の過程を研究し、研究から得られた科学的知見を外国語としての英語教育に応用し、指導法や教材開発を行う。
2016年の3月まで、NHKラジオの「基礎英語3」の講師を通算8年務め、テキスト執筆や番組のプログラムに知見を活かす。さらに、2012年度からNHK eテレの「えいごであそぼ」、「えいごであそぼwith Orton」の総合指導を担当。

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