専門家の先生による、英語教育に関する記事

どんな英語の絵本が良いの?

今回の玉川大学 佐藤 久美子先生のエッセイでは、英語の絵本の選び方をご説明いただきます。
また、『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』コーナーでは、子供の発音がカタカナ英語になっている時の対応法をお教えします!

小学校でも受け入れられ始めた英語の絵本

十数年前に小学校で英語の絵本を初めて導入しようとしたときには、学校側から「本は難しくないですか?」「英語をすべて日本語に訳すのですか?」と余り快く受け入れられませんでした。
ですが、近年では英語学習における絵本の価値が理解されるようになってきているようです。2020年の小学校での英語教科化に向けた移行措置のため、小学校5・6年生向けに文科省が配布した教材『We Can!』には、STORY TIMEというページがありますが、このページの内容は一種の絵本になっています。

英語の絵本を選ぶときのポイントをチェック!

英語の絵本は既習の単語や表現を利用して児童と教師、子供と保護者がやりとりできるため、すばらしい教材になり得ます。
しかし、英語の絵本が豊富に出回っている現在、選ぶのはなかなか難しいものです。
本屋さんやネットで、たくさんの種類の絵本を目にして、かえって選択に迷う保護者も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、未就学児にはどんな風に英語の絵本を選んだらよいかをご説明します。

コンセプトブックを選ぶなら、子供を引きつける工夫があるものを

例えば、数、色、動物の名まえなど、子供に覚えさせたいと思う概念=コンセプトを紹介するのがコンセプトブックです。コンセプトブックには特にストーリーがあるわけではありません。子供が幼い内は、単語だけを扱った本でもイラストに魅力があれば食いつきますが、わりと飽きやすい点がネックです。

そこで、コンセプトブックを読ませたいときは、リズムに乗ってチャンツしたり、歌ったりできるものを選びましょう。
例えば、エリック・カールのイラストで有名な『Brown Bear, Brown Bear, What do You See?』は、英語のリズムに乗って本を読み進めることができます。色や動物の名まえを単に覚えるだけでなく、英語を反復できるので、子供にはとても人気があります。小学校の特別支援級でも、子供たちが大好きな本の1つです。

また、コンセプトの要素が入ったストーリーブックを選ぶのも一つの方法です。ストーリー性のある絵本を使えば、子供が飽きにくくなります。

フラップブック(仕かけ絵本)もオススメ!

フラップブック(Lift-the-Flap Book)は、「飛び出す絵本」と呼ばれることもあります。"flap"はポケットなどの「垂れぶた」を指し、"lift"は「持ち上げる」という意味で、本のいろいろな箇所をめくると、隠れている絵や単語を見ることができる絵本です。
フラップブックは未就学児にとても人気があり、親子で遊びやすい本です。

◆楽しく、評判の良いフラップブック3冊

子供が思わず引きつけられてしまう、楽しいフラップブックをご紹介します。

①『Dear Zoo』Rod Campbell(著・イラスト)/Little Simon

色々な場所に隠れている動物を紙をめくって見つけることができる絵本です。

②『Where Is Baby's Belly Button?』 Karen Katz(著・イラスト)/Little Simon

"Where is baby's belly button?"(赤ちゃんのおへそはどこにあるの?)と話しかけるように読むと、多くの子供が自分のシャツをまくって、オヘソを探し始めます。
『Where is Baby's ~?』のシリーズは他にも数冊あり、1歳児くらいからでも楽しめます。

③『Grandma and Me』Karen Katz(著・イラスト)/Little Simon

②と同じ作家による絵本です。遊びにきたGrandma(おばあちゃん)と子供の交流が描かれていて、子供が共感しながら読むことができます。

◆重要な基礎単語を覚えられるフラップブックのシリーズ

早期英語教育では基本的な英単語群をサイト・ワーズ(Sight Words)と言います。また、英単語を一目見てすぐ発音できるように訓練する方式のことをサイト・ワーズということもあります。
次のようなフラップブックを使えば、日常でよく使われるサイト・ワーズに子供が楽しみながら触れることができ、発音もスペルも自然に覚えることができます。

①『Lift-the-flap Word Book』Felicity Brooks(著)/ Corinne Bittler(イラスト)/Usborne Pub Ltd

このフラップブックではイラストと単語のスペルをセットで覚えていくことができます。
例えば、ヤギのイラストが描かれたふたをめくると、"goat"という英語が出てきます。逆に、"duck"という英語が書かれたふたをめくるとアヒルのイラストが出てくる箇所もあります。
単語とイラストで表現された意味が結びつくようになっていて、子供は英単語を自然に覚えていくことができます。

②『Lift-the-flap Opposites』Felicity Brooks(著)/ Corinne Bittler(イラスト)/Usborne Pub Ltd

①と同じシリーズの本です。この絵本では、英語での"opposites"(対義語)表現が学習できます。
例えば、"first"(最初)と書かれたふたをめくると"last"(最後)の単語が出てきて、"high"(高い)と書かれたふたをめくると"low"(低い)の単語が出てきます。

なお、上記のシリーズには、『Lift-the-flap Counting Book』というフラップブックもあり、隠れている動物の数を数えながら数を覚えることができます。

どの絵本を選んだときも、お子さんといっしょにゲーム感覚で楽しんでください。子供が自然に英単語に慣れ親しむことが、英語を読めるようになるための第一歩です。

『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』第18回:子供のカタカナ英語発音は直るの?

第18回QA

◆DWEユーザーの方からのご質問◆

2歳の子供の英語の発音が、"red"は「レッド」、"five"は「ファイブ」という風に、カタカナ英語の発音になってしまっています。CDやDVDのかけ流しだけで発音は直っていくでしょうか?


◆佐藤先生のご回答◆

5歳くらいまでの子供は、日本語と英語をさほど区別しないで聞いたり、話したりします。
1~2歳の子供であれば、CDやDVDなどの気に入った歌を聞いたり、歌ったりしていると、自然な英語の発音が身についてきます。保護者の方も一緒に歌って興味を共有してあげると、さらに子供は嬉しくなって、集中して真剣に聞いて歌います。
CDやDVDを流す時は、黙って聞くだけではなく、必ず歌ったり、声に出して発音したりすることが大切です。
歌やチャンツなどは、単語や簡単なフレーズの発音向上にとても役立ちます。是非、試してみてください!


佐藤先生近影

佐藤 久美子先生

玉川大学大学院 教育学研究科(教職専攻) 脳科学研究所 教授。
長年、子どもの言語獲得・発達の過程を研究し、研究から得られた科学的知見を外国語としての英語教育に応用し、指導法や教材開発を行う。
2016年の3月まで、NHKラジオの「基礎英語3」の講師を通算8年務め、テキスト執筆や番組のプログラムに知見を活かす。さらに、2012年度からNHK eテレの「えいごであそぼ」、「えいごであそぼwith Oton」の総合指導を担当。

専門家の先生による、英語教育に関する記事