専門家の先生による、英語教育に関する記事

親子で英語学習を楽しみましょう
今回の玉川大学 佐藤 久美子先生のエッセイでは、英語が苦手な保護者でも、お子さんと一緒に英語学習を楽しむためのヒントについて語っていただきました。
また、『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』コーナーでは、「きょうだいがいる場合、上の子に合わせた内容の英語のDVDを流しても大丈夫?」といったご質問などにご回答いただいています。
ぜひチェックしてください!

英語が苦手な保護者でも大丈夫

子ども用の英語教材を使っていらっしゃる保護者の方とお話をすると、多くの方から、
「私は英語が苦手なんです」
「英語が全く話せません。子どもには私の苦労をさせたくない」
「私のように発音が悪いのに、子どもに絵本を読んで大丈夫ですか?」
というような言葉をよく聞きます。

実は、保護者の方の英語力(発音力など)は、子どもが5歳になるまでは、子どもの英語力と全く相関がありません。私の研究では0~5歳児までの子どもを対象としているので、その後の影響については未調査ですが、少なくとも就学前の英語教育であれば、英語が苦手であることを保護者が気にする必要はないのです。

よい発音のCDやDVDのインプットを与えていれば、子どもはその発音をまねし、保護者の方の発音は模倣しません。どうぞご安心ください。
むしろ、英語が苦手であっても、保護者が自ら子どもと積極的に英語を話そうとしたり、歌を一緒に歌おうとしたりすることが、お子さんの学習意欲をかきたてるのです。
保護者の方にも大いに英語を使ったり、話したりしていただきたいと思います。

日常英会話を身につけてみよう

英語を話す、ということを難しく感じている皆さんは、かなり高度な英語を思い浮かべているのではないでしょうか。確かにビジネス英語を話すことはとても難しいですが、日常英語は特殊な表現を含んでいません。
お子さんと一緒に英語学習に取り組みたい保護者の方は、日常の表現を英語で話すことから始めてみるとよいかもしれません。

例えば、自転車を親子で買いに来た時の、次のようなやりとりを見てみましょう。
親:「この自転車はあなたには大きすぎるわね」
子:「大丈夫だよ、サドルを下げられるから」

上記のやりとりは、次のような易しい英文で表現できます。
親:"I think it's too big for you."
子:"It's OK. I can lower the seat."

このように、シンプルな英語表現で日常の会話の多くを話すことができます。
また、前回のエッセイでご紹介したように、小学校の英語授業では、日常生活を舞台に、よく使われる表現がチャンクとしてまとまった形で導入されています。
こうした表現を保護者の方も身につけて、お子さんとの英会話を楽しめば、お子さんのモチベーションアップにつながります。

子育てしながら英語をどう学ぶ?

それでは、保護者の方が簡単な英語を身につけるにはどうすればよいのでしょうか?

小さなお子さんを育てている間は、英会話スクールに行く時間を確保するのも難しいと思いますので、2つの方法をご提案します。

1つは、NHKラジオ講座の「基礎英語」を毎日聞くという方法です。私も講師を8年間務めていましたが、「基礎英語2」あるいは「基礎英語3」は日常会話にぴったりのレベルで、生活でよく使われる定型表現も出てくるため、すぐに会話に役立ちます。
なお、難しい英語を聞き流していても、発話力は身につきません。むしろ、易しい英語表現の意味を理解しながら繰り返し反復すると、英語のアウトプットが出てくるようになります。このことは子どもの英語学習でも同じですので、参考にしてみてください。

2つ目は、お子さんが現在使われている英語の教材を保護者の方もしっかりと聞き取り、英語を言えるようにすることです。
この方法はお子さんとの共同の話題をもつことになり、一緒に英語の歌を歌ったりして、親子で楽しみながら英語にふれられますので特におすすめの方法です!
その際、一定以上の文法レベルがある子供用の英語教材ならば、大人が取り組んでも楽しみやすいでしょう。

例えば、「ディズニーの英語システム」(DWE)は高校レベルまでの文法事項が含まれている教材です。つまり、"I wish~."などの仮定法や、"had been ~ing"といった過去完了表現までも使われています。
また、DWEのblueレベルからyellowレベルに至るまでの文法項目の導入順序は、日本の中学校、高校での教科書の導入順序とかなり一致しています。中学・高校で英語を習ったことのある保護者の方が、知識をおさらいしたり、アウトプットの練習をするのにぴったりの教材なのです。

あるDWEユーザーのお父さまから、「英語が苦手だったけれども、子どもと一緒に教材を聞いているうちに英語が聞き取れるようになってきた」と伺ったこともあります。映画の字幕をみなくても意味が少し分かるようになってきたのだそうです。

英語が苦手な保護者の方だからこそ、英語の楽しさにふれて、お子さんとの思い出をたくさんつくってください。幼い頃の楽しい思い出が、英語好きの子どもを育てることにつながると思います。

『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』第9回:上の子に合わせた内容の英語のDVDを流しても大丈夫? ほか

英語教育お悩み解消Q&A第9回

◆DWEユーザーの方からのご質問◆

2歳7ヵ月の息子と11ヵ月の娘、2人でDWEを使っています。下記のような悩みがあります。

① 家にいる間は子どもが2人でいる事がほとんどなので、上の子に合わせた内容の英語のDVDを流しています。
下の子にはプレイ・アロングなど、赤ちゃん向けのDVDを見せてあげるべきでしょうか?
簡単なものから順を追って見せる方が理解しやすいでしようか?

② 英語の発音に自信がないのですが、「英語の絵本を読んで!」と子どもに言われる事がとても多くなりました。
強弱のつけ方や単語の読みも自信がなく、子どもに悪影響にならないか心配です...

③ 子供向けアニメや映画を英語の吹替で見せているのですが、そこまでする必要はないですか?


◆佐藤先生のご回答◆

① 子どもの発達段階に沿った教材を見せることが、やはり理想的だとは思います。
0歳~1歳半くらいの間は、Play Along!(プレイ・アロング)(※1)などの教材がよいでしょう。プレイ・アロングのDVDにはママやパパが赤ちゃんを抱っこして遊んでいるシーンが含まれており、赤ちゃんにとって親しみやすいと思います。また、DVDと同じおもちゃを持って遊びながら英語を聞くと、ジェスチャーも出やすく、英語も少しずつ口ずさめるようになります。

2歳になる頃には、だんだんアニメに興味を持ちますので、ディズニーのキャラクターが出てきて意味が理解しやすい、Let's Play!(レッツ・プレイ)(※2)のDVDなどがおすすめです。

しかし、年上のきょうだいがいる子どもは、お兄さんやお姉さんのまねをすることも喜びます。2歳のご長男が興味をもっているDVDを赤ちゃんと一緒に見ても、決してマイナスにはなりません。
個人差もありますので、お子さんたちが楽しめているかをチェックしながら、見せる教材を選んでみてください。

※1・2 参考リンク:


② 今回のエッセイでもご説明した通り、お母さまの発音を気になさる必要はありません。

まずは、お子さんに積極的に英語の本を読んであげてください。
余裕が出てきたら、CDやDVD、マジックペンなどで発音を確かめて、アクセントの位置に少し気を使ってもよいでしょう。
お母さまの読み聞かせのひと時が楽しければ、お子さんは英語をますます好きになると思います。

③子どもは、英語のアニメも日本語と同じくらい夢中になって見るものです。
英語で見せても、子どもは十分に喜びます!
DWEユーザーの方なら、DWEで親しんでいるディズニー・キャラクターが出てくる別のアニメを見せることもおすすめです。お子さんたちはきっと興味をもって見ると思います。
子どもはアニメの中の英語も聞きとって歌ったり、話したりすることがあります。
英語を吸収するよい機会になりますので、ぜひ続けてください!


佐藤久美子先生近影

佐藤 久美子先生

玉川大学大学院 教育学研究科(教職専攻) 脳科学研究所 教授。
長年、子どもの言語獲得・発達の過程を研究し、研究から得られた科学的知見を外国語としての英語教育に応用し、指導法や教材開発を行う。
2016年の3月まで、NHKラジオの「基礎英語3」の講師を通算8年務め、テキスト執筆や番組のプログラムに知見を活かす。さらに、2012年度からNHK eテレの「えいごであそぼ」、「えいごであそぼwith Oton」の総合指導を担当。

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