専門家の先生による、英語教育に関する記事

伊藤克敏先生近影

神奈川大学名誉教授 伊藤克敏 先生にお話しを伺いました。

子どもが言葉を習得する過程には親のかかわりが不可欠です

赤ちゃんは言葉が出る前の生後数カ月のころから、自分に語りかけられた言葉にじっと耳をかたむけます。そして目の前で起こっていることと、そこで発せられる音声との関係を観察しながら、言葉を直感的に理解し、脳にインプットしていきます。そして、ためこんだ言葉をもとに別の言葉を理解する能力を培い、徐々にアウトプットも開始しながら、自然に習得していくのです。この過程において親とのかかわりが非常に大切な役割をもちます。

子どもがまだ言葉を話さなくても、親御さんが根気強く、そして愛情深く言葉による働きかけをすることは、インプットのためにはもちろんですが、親子の間で「お互いの言葉を理解できる」という関係を築くためにも重要です。なぜならそれは、頬ずり微笑みなどのやり取りから一歩進んだ、"言語をツールとしたコミュニケーション"の重要な礎となるからです。

また、少しずつ言葉を話し始めても、幼児の初期の言葉は当然ながら不完全です。けれども身近にいる親であれば、子どもが意図することを状況から理解してあげることができます。だからこそ親は子どもからの働きかけに対して、積極的にきちんと言葉で応えてあげることが大切です。

子どもが「わんわん!」と犬を指したら、「そうね、かわいい犬がいるわね」などと言ってあげましょう。適切な言葉をつけ加えたり、別の言葉に言い換えたりして(わんわん→犬)会話を発展させれば、子どもの言語発達が促され、表現力を豊かにしていきます。

子どもの言語習得のために親のかかわりが重要なのは外国語の場合も同じです。つまり、お子さんの英語学習においては、親御さんも大いに活躍していただく必要があります。こう言うと「私は英語が苦手だから・・・」と尻込みしてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、難しく考えることはありません。お子さんといっしょに英語を楽しめばよいのです。

4歳くらいまでの子どもには、体を使った遊びは大いに活用して

さて、「親子で英語を楽しむ」ためのコツは、子どもの発達の状況によっても変わっていきますので、お子さんの年齢別におすすめの方法を紹介してことにしましょう。

0~1歳くらいの子どもは、親といっしょに歌ったり、体を動かしたりすることが大好きです。この時期の子どもに対しては、日本語でも例えば「むすんでひらいて」などを体を動かしながら歌ってあげたりしますよね。このような動作と歌の組み合わせは、子どもに体を動かす楽しさを感じさせながら、自然な形で言葉の意味を理解させます。そして、それを英語で実践するなら、Play Along!は、まさに最適の教材。DVDの動きを親子でいっしょに真似して楽しみながら言葉が理解できるようにつくられていますから、親子の間でお互いを理解できる英語表現を使う場自然に生まれます。親子で心を通わせながら楽しく取り組むだけで、大きな効果が期待できるでしょう。

言葉の敏感期にあたる2~4歳の子どもは驚くほどたくさんの言葉を吸収します。0~1歳の子ども同様、体を使った遊びを通じて学ぶことが効果的ですが、自己中心的になりがちな時期でもありますから、お子さんの興味にあったものをとことん楽しませるとうまくいきます。DWEのDVDやCDも同じものばかり見たがる、聞きたがる、ということもあるでしょう。でも、「繰り返し」も記憶の定着のためにはとても大切ですから、本人の意思を尊重して心ゆくまで楽しませてあげてください。親御さんもお子さんの隣でDVDを見たり、いっしょに歌ったりして、楽しみながらお互いを理解できる英語表現の幅を広げていきましょう。

また、このくらいの年齢は子どもが"模様の達人"となる時期ですから、DVDの動きや言葉を真似して遊んでいたら、「上手だね~」とぜひほめてあげてくださいね。

「楽しく学ぶ」ことは大きな効果を生み、「親子で学ぶ」ことは大きな意義をもちます

5~7歳の子どもはいきいきとした想像力をもっているので、「物語性のある教材」を上手に取り入れるとよいでしょう。まだまだ右脳が活発な時期で、ストーリー全体の筋を直感的に理解する能力に優れていますので、DWEのBookを開いてお話を楽しんでみるのはいかがでしょう。英語音声で質のよい映画やアニメをいっしょに見るのもよいですね。海外の作品を見れば、外国のものの考え方や文化、日常の生活表現などにふれることもできます。そして見終わったあとは、お互いにどこが楽しかったか、どういう感想をもったかなどを、ぜひ話し合ってみてください。

すでにお気づきでしょうが、どの年齢にも共通するのは、「楽しみながら」という姿勢です。楽しみながら行ったことは忘れにくく長期記憶にも残りやすいと言われています。つまり、「楽しく学ぶ」ことは、子どもにとって最も学習効果が高い方法なのです。そういう意味でも"楽しさ"が重視されているDWEの教材やWFクラブのイベントなどは、子どもの英語学習の方法として、じつに理にかなっていると思います。

また、アウトプットを始めたお子さんの"言い間違い"は、おおらかな気持ちで見守ってあげてください。正しい英語にこだわるよりも英語を話す楽しさや気持ちを伝える喜び実感させてあげることのほうが大切です。子どもの意図をくみ取って、会話のキャッチボールを楽しみましょう。

お子さんの小さいころに親御さんが愛情をもって接してあげることは、積極的なコミュニケーションの姿勢を育てるうえでも非常に重要です。また、将来社会に出たときに、円滑な人間関係を築くための土台にもなります。英語学習を"親子でいっしょに楽しむ"ことは、言語習得以上に人間教育としてもとても意義のあることなのです。

伊藤 克敏 先生

神奈川大学名誉教授
日本児童英語教育学会(JASTEC)顧問
英国国際教育研究所(IIEL)顧問
国際外国語教育研究会会長

専門家の先生による、英語教育に関する記事