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英語教育に関するニュース

模擬国連

模擬国連とは何か

英語を学び、世界を舞台に活躍する人材を育成することを目的として、国際交流をはじめとしたさまざまな取り組みに力を入れる高校が増えています。
その取り組みの一つとして注目されているのが、模擬国連への参加です。模擬国連は参加者が国連の決議の採択までのプロセスを疑似的に体験できる教育プログラムになります。

高校生が世界各国の大使役になってグローバルな課題の解決策を探る

模擬国連に参加する生徒は、それぞれが各国の大使役となって、政策立案や他の国の大使との交渉などを行い、決議の採択に至るまでを国連での会議のルールに従って進めてロールプレイします。
なお、国連の決議には法的な拘束力はないものの「国際社会の意思表明」と見なされるため、全世界に影響を与えます。模擬国連でも自国の決議案が採択後に世界でどんな役割を果たすのかについて考えてみることが推奨されています。

議題となるのは、貧困や移民問題、人権、ジェンダー、気候変動、食料安全保障と飢餓、核軍縮、さらにはサイバー空間など、現実の社会で問題になっているテーマです。生徒は自分が担当する国についてリサーチするとともに、こうした議題についても事前に深く掘り下げて会議に臨みます。
模擬国連への参加者に求められるのは、リサーチ力だけではありません。決議案作成におけるライティング、大勢の前でのスピーチ、利害関係が異なる国との交渉を行なう必要があるため、様々なスキルを身につけることになります。

高校生向け模擬国連は2007年から始まった

模擬国連は、1920年代にアメリカの大学で始まりましたが、日本では1980年頃から大学を中心に授業やサークルで取り入れられるようになりました。1983年に、のちに国連難民高等弁務官を務める緒方 貞子氏を中心に日本で最初の模擬国連団体が組織されました。
高校においても、2007年から高校生の模擬国連全国大会として、大学生で構成するグローバル・クラスルーム日本委員会による全日本高校模擬国連大会が始まりました。2012年度から、この大会にACCU(ユネスコアジア文化センター)が事務局として協力し、全日本大会を共催しています。ACCUは同大会で優秀だった高校生を国際大会に派遣したりもしています。

模擬国連の流れ

具体的に模擬国連ではどのようなことが行われるのでしょうか。全日本高校模擬国連大会の流れを例に見てみましょう。

【模擬会議の前】

①書類選考によって出場チームが決められる(2017年・2018年は書類選考を経て出場権を獲得した86チーム、172名が参加)。
②模擬会議運営メンバーにより、チームが担当する国が決まる。2名1組になって1つの国の大使を務める。
③参加チームは会議に参加する前に、下記の事前準備を行う。
・参加チームは国際社会におけるその会議の位置づけやその会議が持つ権限を理解する。
・議題の論点や問題の背景、これまでの国際会議での議論などを、模擬会議ごとに作られる「Background Guide(※1)」という解説書をもとに理解を深める。
・担当国の基本情報を知り、それを元に国益を考えたり、過去の政策を分析したりして担当国のスタンスを固める。

※1 Background Guide:
模擬国連の会議の論点の解説とともに「アウトオブアジェンダ」として会議中に議論できない内容が明記されている。

【模擬会議の当日】

①議題に対して発言したい国がスピーチを行う。
②いくつかの討議が行われる討議には公式討議と非公式討議があり、非公式討議の中に着席討議と非着席討議がある。
③会議の使用言語は公式が英語、非公式は日本語です。公式・非公式共に文書は英語と定められている。そのため、非公式討議では国同士の理解を深めるために日本語で行うことができるが、公式討議のスピーチや議事進行は英語で行なう。
④決議に至るまでに、宣言案、修正案、決議案のWorking Paper、そして決議案とさまざまな公式文書を英語で書いて提出する。
⑤非着席討議では議場内を自由に歩き回り、自国の立場や意見を説明したり、グループを作って決議案を作成できる。
⑥締切時間までに決議案を作り、会議の最後に投票により決議が採択される。

【過去の受賞校の例】

2017年第11回大会の結果

「ジェンダー平等」を議題に会議が行われ、最優秀賞・優秀賞を受賞した6チーム、12名が日本代表として2018年5月にニューヨークの国連本部で行われる高校模擬国連世界大会に出場しました。
世界大会では、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)、UNIDO (国際連合工業開発機関)、SC(安全保障理事会)など16の会議があります。日本チームはウルグアイを担当し、国連総会や国際連合工業開発機関、世界知的所有機関、安全保障理事会などに出席して討議しました。

◆最優秀賞

海城高等学校(メキシコ大使)
桐蔭学園中等教育学校Bチーム(アラブ首長国連邦大使)

◆優秀賞

渋谷教育学園渋谷高等学校Bチーム(エチオピア大使)
浅野高等学校(スロバキア大使)
頌栄女子学院高等学校Aチーム(ポーランド大使)

2018年第12回大会の結果

「武器移転」を議題に会議が行われ、最優秀賞、優秀賞、審査員特別賞を受賞した8校16名が2019年5月にニューヨークで開催される高校模擬国連国際大会に派遣されることになっています。

◆最優秀賞

桐蔭学園中等教育学校Bチーム(ニュージーランド大使)
渋谷教育学園幕張高等学校Bチーム(イギリス大使)

◆優秀賞

浅野高等学校Aチーム(ガーナ大使)
灘高等学校Aチーム(ベルギー大使)
麻布高等学校(ガーナ大使)
聖心女子学院高等科Bチーム(イラン大使)

◆審査員特別賞

海陽高等学校(イラン大使)
岐阜県立岐阜高等学校(シリア大使)

模擬国連の広がり

高校の部活動で模擬国連に取り組む

模擬国連のための部活動がある高校もあります。こうした部活動では世界各国の社会問題や国際情勢の分析をするほか、日頃から英語の文書を読んだり英語でのスピーチや討論の練習をしたりといった活動が見られます。
全日本高校模擬国連大会で5年連続優秀賞を受賞している桐蔭学園中等教育学校にも模擬国連部があり、模擬国連に力を入れている様子がうかがえます。

初心者でも参加できる大会も始まる

高校生向けの模擬国連の場は、先程紹介した全日本高校模擬国連大会の他にも増えています。
2017年にはユネスコアジア文化センターと全国中高教育模擬国連研究会の主催で初心者でも学びながら参加することができる全国高校教育模擬国連大会(AJEMUN) が始まりました。こちらの運営は高校生が行っており、日本語による会議のため、初心者も参加しやすくなっています。

国際社会で通用するコミュニケーション能力を磨く

国際社会でコミュニケーションを取るためには、英語力はもちろん、異文化への理解や共感も不可欠です。母国とは違う国の大使になりきってグローバルな課題の解決策を話し合う模擬国連は、実践的なコミュニケーション能力を磨く方法といえるでしょう。
さらに、さまざまな国と価値観を知ることは、自分の国や価値観を振り返ることにもつながります。進路を考える時期の高校生にとって、模擬国連への参加は大きな刺激になりそうです。

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