英語教育に関するニュース

英語力が高い県

文部科学省が英語教育実施状況を調査

文部科学省から4月5日に発表された、平成28年度「英語教育実施状況調査」では、平成28年12月1日現在の公立中学、高校の教員の英語力、生徒の英語力、授業における英語担当教員の英語使用状況などを明らかにしています。

平成27年度からは生徒の英語力について都道府県別のデータを公表しており、初年度に最も順位が高かったのは千葉県でした。28年度はどのような結果となったのでしょうか。調査の概要および中学校の結果を見てみましょう。

平成28年度の1位は奈良県

文部科学省では、中学校卒業段階で英検3級以上の英語力を持つ生徒の割合を、平成24年度の31%から平成29年度には50%に、さらに36年度には70%に引き上げることを目標として掲げています。なお、実際に英検3級を取得している生徒のほか、各学校の英語教員が英検3級と同レベルの英語力を持つと判断した生徒の数を合算しています。

平成28年度の調査によると、全国の合計では英検3級以上の英語力を持つ生徒の割合は36.1%という結果に終わりました。平成27年度は36.6%という結果だったので、平成28年度はわずかに下がっています。
都道府県別では、1位は奈良県で48%、ついで東京都(47.1%)、福井県(46.5%)と続きます。千葉県の2連覇達成はならず、45.9%で4位でした。

1位となった奈良県は昨年の調査から13.9ポイントも伸ばし、順位も25位から一気にトップに躍り出ています。文部科学省によると、奈良県のように10ポイント以上伸ばした都道府県の教育委員会では、外部試験の導入・定期試験の改善・パフォーマンステストの導入などにより生徒の英語力をきめ細かく把握し、指導改善に活かす取り組みを行っているそうです。

また、3位の福井県は去年に引き続き3位をキープしていますが、2016年から2017年にかけて中学に配置するALT(外国語指導助手)を増員していることが、ランキング上位をキープできている理由かもしれません。

奈良県は教員の英語力もアップ

奈良県では中学校の英語担当教員の英語力も前年の37位から12位に大きくランクアップしています。
中学校教員の英語力については、CEFR(※) B2レベル(英検準1級、TOEFL PBT550点、TOEFL CBT213点、TOEFL iBT80点、TOEIC730点)以上を取得した割合が本調査で明らかになっています。全体では前年の30.2%から32%だったのに対し、奈良県は前年に比べて9.3ポイントアップし34.3%になっています。

平成33年度より全面実施される中学校の次期学習指導要領では、「授業を英語で行うことを基本とする」とされており、英語力とともに英語による指導力も求められます。
本調査では教員の英語力と生徒の英語力は必ずしも比例していませんが、奈良県の結果は、先生の英語力向上が生徒の英語学習に好影響を与えたことを示唆しています。


CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)
CEFR=
ヨーロッパ言語共通参照枠とは、 欧州評議会で提唱された言語学習者の習得状況を示す際に用いられている国際指標のこと
その目的は、ヨーロッパのすべての言語に適用できるような学習状況の評価や指導といったものの方法を提供することである。
透明性が高く、分かりやすい、包括的な評価基盤を提供するものとして、欧州域内外で使われている。

CEFRの「共通参照レベル」
A1
A2を基礎段階とし、A1<A2<B1<B2<C1<C2とレベルが高くなっていく。

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