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旅館取り込めぬ訪日客

年間2000万人を超えて増加し続けている外国人観光客

2016年の訪日外国人観光客が2000万人を超えて以来、日本を訪れる外国人の数は増加し続けています。

日本政府観光局(JNTO)の推計によれば、2018年4月の訪日外客数は290万1千人に達しており、単月として過去最高を記録したと報じられています。
国内の街頭の案内板や駅の表示も、数ヵ国語が併記されているものが普通になってきました。

今後は国内のビジネスシーンでも、外国人が日本に期待するものを理解して提供することがますます重要になってくるとみられ、英語力へのニーズが高まりそうです。
国内の観光地をみると、外国人観光客を取り込めるかどうかで、旅館の経営の明暗が分かれています。
訪日客を呼びこむための旅館の工夫について、新聞記事から見てみましょう。


旅館 取り込めぬ訪日客

情報発信や泊食分離 模索

訪日外国人客の急増でホテルが活況にわく一方、旅館は苦境が続いている。稼働率は30%台とホテルの半分程度にとどまり、廃業も少なくない。和風の建物に畳の部屋、和装の従業員など、訪日客に受けそうな素材はそろっているのに、取り残されている。

群馬県みなかみ町の水上温泉。温泉街の中心部を歩くと、営業をやめた旅館が数件あった。「昔よりだいぶ寂しくなってしまった」。観光関係者が嘆く。

ある老舗旅館は、平日は客が入らず営業できない日も多い。バブル崩壊のあと、団体旅行客が激減。個人客のリピーターを増やす努力をしながら、何とか今まで続けているという。周囲では廃業も相次いだ。客のほとんどが日本人。支配人の男性は「言葉が不安だし、大きな投資も難しく、訪日客の積極的な受け入れはためらう」と話す。

水上温泉が特別なわけではない。観光庁によると、訪日客が急に増え始めた2014年以降、主なホテルの客室稼働率は70%以上を保っているが、旅館は30%台後半。厚生労働省のデータでは、16年度に全国のホテルは14年度より222軒増え、旅館は2410軒減った。

香港から来た大学生は「旅館はすてきだと思うけど、情報が少ないし、決めきれない」。民泊や低価格のホテルを使っているという。

日本政策投資銀行などが16年に訪日客に行った調査では、最多となる7割超が、泊まりたい宿泊先として「日本旅館」を挙げた。

宿泊業に詳しいリクルートワーク研究所の研究員は「非常にもったいない状況だ。旅館の情報発信や昔ながらのビジネスモデルの変革が足りず、せっかくの需要を取り逃している」と指摘する。

一方で、海外に名の知られた旅館もある。約20軒の旅館が並ぶ長野県山ノ内町の湯田中温泉。ここ数年で多くが訪日客の取り込みに成功し、息を吹き返した。

近くのスキー場が07年に閉鎖され、客が激減。危機感を強めた「清風荘」経営者らは、温泉に入る町名物の猿が海外で話題になったことを知り、海外の予約サイトに登録した。他の旅館にも呼びかけて登録を増やし、訪日客を増やしていった。

清風荘では大きな投資はなし。案内は片言の英語と身ぶり手ぶり。それでも予約でいっぱいになる日が多く7割以上は訪日客だ。

シンガポールから彼女と来た男子は「日本の伝統を感じたかった。布団も畳もいいね」と大喜び。宿主は「そのままの姿を見せれば、『体験』ととらえて楽しんでくれる」と話す。

熊本県阿蘇市の「蘇山郷」は、12年の豪雨災害の被害を機に海外の予約サイトに登録。夕食の有無を選べ、ホームページで地元の飲食店約20店を4ヵ国語で紹介する。訪日客は12年の200人が17年は2500人に急増した。客の9割が外国人という東京都台東区の澤の屋旅館(全12室)も夕食を出すのをやめ、かわりに近隣の飲食店マップを配っている。観光庁も宿の外で食事をとる「泊食分離」が重要だとして、実証実験を計画する。


朝日新聞 2018年2月1日 経済面より
森田岳穂・石山英明 記者

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