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英語教育に関するニュース

渋谷インターナショナルラグビークラブ1

近年、学校での英語教育ではイマージョン教育が注目を集めています。
イマージョンとは「浸す」という意味で、日常の学校生活や行事、英語以外の授業にもネイティブの先生が入り、英語を使う環境を作る教育方法です。
そして、このイマージョン教育の動きは学校の外でも活発になっているようです。
例えば、2017年9月に設立された一般社団法人 渋谷インターナショナルラグビークラブでは、小中学生を対象に、「英語でラグビー教室」を開催しています。

この「英語でラグビー教室」では、同じく渋谷区内にある英国式義務教育過程校のBritish School Tokyoの生徒とともにタッチラグビー()を楽しんでいます。

指導をするのは、他のクラブで指導経験を持つ英国人コーチのほか、指導資格を持ったBritish School Tokyoの保護者たち。
また、日本人スタッフが通訳やフォローを行い、安全に配慮して練習を行っています。

今回は、2018年3月11日に都立青山高校で行われた「英語でラグビー教室」を取材し、スポーツを通じた英語学習の事例をご紹介します。

※タッチラグビー:
タックルのかわりにボールを持った人をタッチする簡易型ラグビー

心の距離を縮めるアイスブレイキング

渋谷インターナショナルラグビークラブ2

まず、レッスン開始前に英語を母国語としない小学生を対象に、通訳を務める日本人スタッフによる英語の予習を行います。
下記のような、名前の聞き方と答え方、年齢の聞き方と答え方、住んでいる場所の聞き方と答え方を練習しました。

"What's your name?" ― "I'm ◯◯."/ "My name is ◯◯."
(あなたの名前は何ですか?―私は〇〇です。/私の名前は〇〇です。)
"How old are you?" ―"I'm ◯ years old."
(あなたは何歳ですか?―私は〇歳です。)
"Where do you live?" ― "I live in Shibuya."
(あなたはどこに住んでいますか?―私は渋谷に住んでいます。)

ラグビーのレッスンでコーチが使う指示も聞き取れるように、以下のフレーズも通訳の後に続いて練習しました。

"Run!"(走れ!)
"Run faster!"(もっと速く!)
"Come back."(戻って来て。)
"Hands up."(手をあげて。)
"Watch the ball."(ボールを見て。)

ちなみに、英語のレッスンで使う単語や文が書かれたレジュメはレッスン後に参加者に配られるので、家に帰ってから復習するのにも使えるようになっています。



渋谷インターナショナルラグビークラブ3

英語のフレーズを練習したのち、全員でウォーミングアップをし、アイスブレイキングに入ります。
アイスブレイキングとはラグビーをする前に身体を使った簡単なゲームを通して交流することです。
渋谷インターナショナルラグビークラブの徳増 浩司会長によれば、アイスブレイキングを挟むことで、日本人同士あるいは外国人同士で固まることなく、ラグビーのレッスンに参加できるようになるそうです。

この日はまず、音楽に合わせて自分の頭・肩・膝・つま先を触る"Head, shoulders, knees and toes"というゲームを行いました。触る個所を間違えた人はみんなの周りを走るというルールです。そんなゲームの中で、みんな笑顔が出てきました。



渋谷インターナショナルラグビークラブ4

2番目に行われたゲームは、子どもたちで円をつくって、音楽が流れている間は歩き、音楽が止まった瞬間に5メートルほど離れたところに置かれたいくつかのフラフープの中に入るというものです。



渋谷インターナショナルラグビークラブ5

狭いフラフープに4人、5人と入るため自然と相手との距離が近づきます。

続いて、手をあげた子どもたちの中からコーチが2人キャプテンを決め、キャプテンが英語でチームのメンバーを勧誘して2つのグループに分かれました。
キャプテンはメンバーを勧誘するときに、"I'm 〇〇.Nice to meet you. What's your name?"とレッスン前に勉強した内容を使って挨拶します。
ここで、日本人の子どもと外国人の子どもが会話をする機会が作られていました。




渋谷インターナショナルラグビークラブ6

アイスブレイキングの締めは2つのチームに分かれたら縦に1列に並び、足の下を通してボールを後ろに送るゲームです。
後ろまでボールが渡ったら、ボールを持って先頭まで走り、また後ろへとボールを送ります。

相手チームに負けないよう、盛り上がる子どもたち。
"Go! Go! Go!"(行け!行け!行け!)、"Faster! Faster!"(早く!早く!)"Move!"(動いて!)と掛け声が飛びかっていました。

アイスブレイキングのあとはいよいよレッスンです。
ラグビーのレッスンは、小学生の初心者、小学生の経験者、中学生の3つのグループに分かれて行われていました。

渋谷インターナショナルラグビークラブ7

小学生の初心者のグループでは、ラグビーは後ろにパスをすることを学びます。
ラグビーではチームメイト同士のコミュニケーションが大切です。

2人1組になり、ボールを持った人が相手より2メートルほど進んだところにいます。
相手が"Pass"と言ったら、ボールをパスし、ボールを受け取った方は4メートル進みます。
相手の"Pass"という言葉でボールを渡す、というのを繰り返し、声をかけあうことを学んでいきました。

小学生の経験者のグループでは、走りながらパスをしたり、コーチがディフェンスをするところを通り抜けたりと高度な内容に。
中学生はさらに、ステップを踏んでディフェンスを抜かすなど、それぞれのレベルにあった練習をしました。

スペシャルコーチとして元日本代表が参加

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この日は、元日本代表のラグビー選手で現在は解説者としても活躍されている大西 将太郎氏がスペシャルコーチとして参加。
ゴールキックを蹴るときの身体の使い方をわかりやすく教えてもらい、参加者のキックもみるみる上達していきました。



渋谷インターナショナルラグビークラブ9

各国の代表チームと戦って来た大西氏は「英語でラグビー教室」の取り組みに共感しているそうで、次のように語ってくれました。

「子どもたちにラグビーを教えるクリニックを多く行っていますが、これだけ外国人が多いのはめずらしいです。英語もラグビーも両方できるのが良いですね。私自身も勉強になります。
小さな子どものころから、様々な国の同年代の子どもたちとふれ合うことは、大事なことです。
このラグビー教室は、現代の社会で必要な多様性へのニーズに応える良い取り組みだと思います。」



保護者の期待に応えるラグビー教室

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「英語でラグビー教室」に参加した子どもたちの保護者に、参加理由をたずねたところ、

「子どもが身体を動かすのが好きで、英語にふれる機会にもなるから」
「息子は外国人にためらいなく話しかけられる性格なので、英語を話す機会をより多く作りたいと思って参加した」

といった答えが返ってきました。
ラグビー教室に参加した子どもたちに感想を聞いてみると、こうした保護者の期待は叶えられたようです。
子どもたちからは以下のような感想が寄せられており、ラグビーと英語が良い相乗効果を生んでいる様子がうかがえます。

「英語を話す人ばかりで最初は緊張したけれど、ラグビーボールを使って一緒にゲームをしたら知らないうちに面白くなっていった」(小2)
「新しい英語がわかったし、英語でラグビーができてよかった」(小4)
「学校で勉強している英語が、本当にラグビーをしながら聞こえてきて嬉しかった。自分の意見を英語で言えるようになりたいと思った」(中3)

早い段階から外国人とコミュニケーションを

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「英語でラグビー教室」を開催している渋谷インターナショナルラグビークラブ会長の徳増氏は、長く国際的な舞台で働いてきました。
ウェールズのカーディフ教育大学でコーチングを学び、帰国後は茗渓学園高等学校に英語教師として赴任し、同校ラグビー部を全国大会で優勝に導いています。
その後、徳増会長はラグビーフットボール協会に勤務し、2019年のワールドカップ招致事務局長も勤めました。

徳増会長は、子どもは早い段階で外国の人々とのコミュニケーションに慣れることが望ましい、という思いから同クラブを設立したと言います。

「英語でラグビー教室」ではスポーツを通じて、様々なコミュニケーションが生まれています。
例えば、日本人の小学生と同年代のイギリス人の少年が練習中にあるきっかけから、取っ組み合いのケンカになってしまったこともあったそうです。
しかし、コーチが仲裁し、仲直りをさせると、それがきっかけとなって2人はとても仲良しになり、ゲームで得点するとお互いにハイタッチをしあう仲になったといいます。
日本と外国の子どもたちが、まさに体をぶつけあって交流し理解を深めていける場になっているのです。

徳増会長は次のように語ります。
「グローバル化が進んでいるとは言え、日本国内ではまだまだ外国人、特に同年代の子どもたちとの交流に慣れていないのが実情です。
一方で、インターナショナルスクールに通う外国の子どもたちも、日本の子どもたちとふれ合う機会は限られています。
日本にいながらにして、互いに交流できる場として、このクラブを作りました。クラブでは英語を学びながらラグビーに接することを目的にしていますが、まずはコミュニケーションを取ろうと努力することを大切にしています。
最初は片言でもいいし、日本語でもいいから何か言ってごらん、と伝えています。
例えば、ボールを持っている仲間に"Hey."とか"Pass."とか、何か言えばボールをもらうことができます。そうした経験の積み重ねが、相手との壁を小さくしていくでしょう」

なお、「英語でラグビー教室」は、2018年3月までは1回ごとに参加者を募っていましたが、4月からは10回連続の形式で行い、ラグビーも英語もより継続的に学べるようになります。英語のレッスンもカリキュラムを作って内容を充実させていくそうです。

また、渋谷インターナショナルラグビークラブは東京都内でのラグビー教室のほか、2017年11月に静岡県袋井市でも「英語でラグビーinエコパ」として同様のレッスンを開催しました。
「東京でのラグビー教室を充実させるとともに、他の都道府県でも開催し、ラグビーを通じた国際交流の場を広げていきたい」と徳増会長は話してくださいました。

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