英語教育に関するニュース

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2020年度から小学5・6年生では英語の教科化が決定し、さらに3・4年生においては外国語活動の導入が決定するなど、英語学習の低年齢化が進みつつある昨今、それに伴って関心が高まりつつあるのがその年代での海外留学です。英語圏の国々に身を置いて、日常から生の英語に接することができる海外留学は、言うまでもなく最適な英語学習方法の一つです。そこで今回は、未就学児から小学生の年代において経験ができる海外留学について、内容や期間、国による特徴などについて、近年の傾向を踏まえつつお伝えしたいと思います。

未就学児と小学生の留学は短期の親子留学がメイン

この年代の海外留学を考える場合、いわゆる親子留学という形態が最も一般的な留学スタイルとなります。そもそもこの年齢のお子さんが一人で海外へ行こうと思っても各国の入国規定から単身での入国は認められないことも多く、例え行けたとしても親御さんは心配で気が気ではない状態でお子さんの帰国を待たなくてはなりません。また、この年代のお子さんの海外での一番の敵は「ホームシック」です。低年齢のお子さんが日本と全く異なる留学先の環境に適応するためには、身近に寄り添ってくれる家族の存在が必要不可欠となります。さらに「親子」留学ということは当然、親御さんも学びの機会が得られるということですので、お子さんが学校に通っている時間を使って、親御さんも英語やその国ならではの習いごとができるというメリットがあります。もちろん、観光やショッピングを楽しむのも一興です。

次に期間について考えます。国際的な信頼度が非常に高いと言われる日本のパスポートですが、2001年の米国での同時多発テロ事件以降、米国のみならず欧米各国の外国人に対する入国規定は厳しいものとなりつつあり、それは日本に対しても例外ではありません。そのため、国によって一昔前まで容易だった長期間滞在が各国で難しくなってきているのが現状です。実質この年代で長期間の海外留学を可能とするには、親御さんの永住権や就労ビザなどの長期滞在ビザに紐づく形で扶養家族としての入国許可を得ない限り、かなりハードルは高いと言えます。よってごく一般的な家庭のお子さんの海外留学を考えた場合は、必然的に短期間の親子留学に選択肢は絞られてくることになります。

英語習得において、長期間にわたって学習を継続することが有効であることは言うまでもありませんが、短期間でも効果を得ることは可能です。特に吸収力に優れた低年齢のお子さんの場合、大人の想像を超えた適応力を発揮して、素早く異国での海外生活に慣れ、親御さんも舌を巻くほどの英語力を身に付ける例も珍しくありません。それを可能とするのはやはり、身近に英語があふれる環境です。

留学の様々なカタチ

まず未就学児との親子留学の場合、お子さんは現地のチャイルドケアセンターや幼稚園に通うのが一般的です。この年代は勉強というよりはむしろ、同年代のお子さんと様々な遊びを通して触れ合うことに重きを置いた留学がお勧めです。先進国の英語圏の国々であれば、各国の法制度のもと、日本と大差ない設備・環境のなかで保育が行われていますので安心です。

小学生になると選択肢は徐々に広がってきます。現地のお子さんたちが通う小学校への体験入学や、教育団体や自治体が現地のお子さんたちを対象に実施する※サマーキャンププログラム、英語学校が実施し世界中から集まる同年代の児童と一緒に学べる英語研修プログラムなど、様々なプランがあります。また小学校高学年になるとお子さんの単身入国が可能な国も出てくるため、徐々にお子さんだけでの単身留学も選択肢に入ってくるようになります。
※サマーキャンプとは・・・長期間にわたる夏季休暇の間に、地元の教育団体や自治体などが主に小中学生を対象として実施するキャンプ。数泊程度のものもあれば日帰りのものもあり、なかには長期間に及ぶものもある。

海外留学時の滞在方法としてまず思いつくのがホームステイだと思いますが、親子留学の場合もホームステイは最もメジャーな滞在方法となります。親子そろって現地家庭に滞在し、ホストファミリーとの日常生活を通して生の英語に触れ、かつその国の文化や習慣にも親しむことができるのがホームステイの何よりのメリットです。小学校高学年の単身留学の場合は、安全面の問題から学校スタッフの管理下のもとで学生寮滞在を行うのが一般的です。

国ごとの傾向

国ごとに入国管理規定や学習システムが異なるため、各国で体験可能な留学の形態も様々です。以下に主要な英語圏の国々においてお子さんが体験可能な留学形態を記しますので、ご参考としてください。

国名主な留学形態
アメリカ 幼稚園(ハワイなど)、サマーキャンプ、英語学校主催の英語研修プログラム(単身留学も可)
イギリス 英語学校主催の英語研修プログラム(単身留学も可)
※イギリスは夏休み期間中のボーディングスクール(全寮制の学校)を利用した英語研修プログラムが豊富です。
カナダ 幼稚園、小学校、英語学校主催の英語研修プログラム(単身留学も可)
オーストラリア 幼稚園、小学校、英語学校主催の英語研修プログラム(単身留学も可)
ニュージーランド 幼稚園、小学校、英語学校主催の英語研修プログラム(単身留学も可)
その他 ・近年はフィリピン(セブ島中心)やフィジーなどの発展途上国での親子留学プログラムも出てきています。これらは費用の安さが特徴です。
・ビザ取得や費用面などのハードルはありますが、イギリスなど上記の各国やスイス、中東の国などのボーディングスクールでは長期留学も可能です。

※上記はあくまで各国の傾向として記載していますので、各国の全容を網羅したものではありませんことを予めご了承ください。

まとめに

これまで述べてきましたように、未就学児や小学生の低年齢のお子さんの留学としては「短期間の親子留学」が最も現実味のある形態であり、小学校高学年になりますと徐々にお子さんだけでの「単身留学」も選択肢に入ってくるようになります。国によって留学の形態も様々あり、近年では旅行会社が提供するものをはじめ低年齢向けの留学プログラムも多くみられるようになりましたので、検討にあたってはできるだけ多くの情報を収集し、お子さんの個性にも適した留学プログラムを選ばれることお勧めします。春休みや夏休みなど、日本の学校を休まずに参加できるのが短期留学のメリットでもありますので、お子さんの優れた吸収力に期待して、来るべきグローバル社会に備え、ただ英語を学ぶだけでなく、海外生活を体験させる機会として有効活用してみてはいかがでしょうか。


・編集協力:

佐藤 徹

(株)ログワークス取締役。留学業界に携わって約15年。親子留学はもちろん、各年代の個人留学から大学等の団体留学まで、豊富な手配実績あり。一児の父。

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