英語はビジネスの世界で非常に重要になってきています。例えば楽天が英語を社内公用語化したり、ユニクロが本社社員や店長に一定レベル以上のTOEICのスコア獲得を義務づけたりしています。
海外大学MBA「ビジネス管理学学位取得」プログラムのディレクターである喜多元宏氏に、今後どのように英語が必要になってゆくかお聞きしました。
Q:これからのビジネスにおいて、英語はどのように関係してくるでしょうか?
A:英語はもうビジネスにおける基本的なスキルになると言えます。
ただ現在はネイティブのように喋ることが求められているよりは、むしろしっかりと英語を通してコミュニケーションできるスキルが重要です。つまり英語で交渉ができて、相手に意見を伝えることができる能力です。現代のビジネスパーソンは昔より情報技術の進歩によって格段に忙しくなっています。限られた時間のなかで効率的に英語とビジネススキルをアップさせるのは、現代の日本のビジネスパーソンにとって必要な技術となっているのです。
MBAを学習するという点に関して、学生時代から英語を積極的に学んできた学生は、もしかすると世界的なビジネスのセオリーを学ぶ学習においても有利になるかもしれませんが、我々のプログラムではMBA学習の中で、英語で自分の理論をアウトプットしてゆく為のスキルをより必要としています。
過去のMBAは、エリートビジネスパーソンのためのものと思われていました。しかしながら、現在では、会社にあるビジネスリソースを使って、すべての管理職者がそれをマネジメントするための必要な学位になってきています。これは例えて言うならば「車の運転免許証」のようなものになってきていると考えて頂きたい。ただ英語ができないというだけで、MBAのような管理職者の為には必須となってきているスキルの取得を見送るのは、今後のビジネス社会における個人の成長においては大きな機会損失ではないでしょうか。これからは当然のようにMBAの中で学習するようなビジネスセオリーを理解していることや、英語でコミュニケーションすることがあらゆるビジネスシーンにおいて重要になってくるのは間違いないでしょう。
Q:英国国立大学のMBA学位取得プログラムということですが、どれくらいの英語のスキルが求められていますか?
A:具体的な英語スキルやスコアは問いませんが、我々はアサイメントを英語で提出することを求めています。
これはビジネスにおいて英語でアウトプットできることが、ビジネスパーソンには特に求められる要素となっている為です。そいう意味では英語は非常に重要であって、これからのすべてのビジネスパーソンにはそうしたコミュニケーション能力が基本として求められてくるようになる可能性があるでしょう。
Q:MBA学習において英語能力の高い学生は有利でしょうか?
A:有利ではあると思います。
プログラムには外資系企業の学生が多数在籍しており、彼らの多くは仕事も英語で行っています。また海外で教育を受けた学生も在籍しています。当然、英語でのアウトプットという点では彼らにアドバンテージがあります。さらには、考え方や思考パターンの点においても日本人と異なっているので、それに対応できているという点でもアドバンテージを持っているのは事実です。例えば日本人は主語から修飾語を延々と述べた後に述語を語るという表現方法ですが、ビジネスにおいても結論を先に述べずに、延々と付加的なことを語り、最後に結論を語るという日本人的な傾向があります。よって英語のようにまずは結論から語るというコミュニケーションを主体とするグローバルビジネス社会では、日本人ビジネスパーソンが何を言わんとしているのか全く理解してもらえないという事態を引き起こしてしまっています。
英語に親しんでいるビジネスパーソンの多くはそのことを理解しており、ダイレクトにまずは結論を述べて明瞭に意思を相手に伝えることに馴れているようです。このように英語のスキルを身に着けてゆくことも重要ですが、英語を通してビジネスコミュニケーションの常識も身に着けて頂きたいと考えています。
Q:今後、子供たちがグローバル社会で仕事するには英語はどのように必要となってゆくとお考えでしょうか?
A:英語は必ず今以上に必要なビジネススキルになります。
また英語を子供の頃から学習して習得しておくことで、その後の進学、就職においてさらなる大きな可能性と選択肢を獲得することができるようになるのも間違いないでしょう。子供の頃から英語を学び、それを活用する経験をもっていると、大人になって仕事に就いた時には英語が必ず役に立つシーンに出くわすと思います。
我々のプログラムには、MBA学位取得のために入学を検討して相談に多くの方が来られますが、中には英語に対する苦手意識、あるいは英語だけは避けたいというだけの理由で参加を断念される方もおられます。基本的な英語を身につけておくだけで我々のプログラムはアサイメント、論文と英語でアウトプットして頂けるようになっています。英語が苦手というだけでそれを断念するのはもったいないと思います。ビジネス経験やスキルの点で自信があってキャリアアップのために勉強したいと思っても英語が不得意というだけでそれを手放さなければならないという選択をされるよりは、積極的に英語にチャレンジして頂きたいと思っています。
こうした現状を見ていると、親の皆さんは子供にはある程度の英語環境を提供することが、将来のビジネス社会人として成長するために早期から親が準備してあげられる事になるのかもしれません。例えば、日本は社会人教育の分野において、社会人が再び教育機関に戻って学習する(リカレント教育)の率がOECD諸国の中で非常に低い状況です。またその比率はアジアのなかでも韓国・中国・シンガポールと比べて低く、日本のビジネスパーソンは経験的にはビジネスを学ぶ(所謂、OJTや我流)ことはしますが、ビジネスにおけるセオリーを理論として勉強することをしないという傾向に結果的につながっています。
社会人教育の分野でもMBAのような、ビジネスにおける世界的に共通したスタンダードの学習は、必然的にある程度の英語力が求められます。この英語というボーダーラインの部分で、既に日本の社会人の多くは学習を放棄しているという部分もあると考えられます。よって社会人になる前、つまり就学中に基本的な英語学習を行い、英語に抵抗感がなければ、社会人になっても必要な時期にMBA学習のような機会を的確に捉えて、キャリアアップに活かして頂けると思います。
こうした意味でも、小さい頃からしっかり英語を学んでおくことがビジネスにおける将来のキャリアアップに直結している可能性もありますので、ここはおろそかには出来ないポイントにもなっていると思います。
Q:どのタイミングでMBAを勉強するのが良いでしょうか?
A:「いざ鎌倉」という言葉があります。これはその時がいつ来るかわからないので、常にその為の備えが出来ていることを意味する表現です。
例えば管理職者は取締役になるために、また一般社員は役職がついて管理者になるために、あるいはそうしたキャリアアップのチャンスを獲得するために、つまりその機会が訪れる前にある一定のスキルと学位を身に着けておく必要があります。もしあなたが管理職者であれば取締役になってから、またあなたが一般社員であれば役職がついて管理者になってからMBAを学ぼうと思っているのであればそれは間違いです。なぜならば実際には、いつ来るかわからない、その時のチャンスに備えて既に準備が出来ている人の中から選抜されてキャリアアップしてゆくからです。
英語もそれと同じです。英語を勉強してビジネスで英語を使えるようになってからMBAを学ぼうと考えている人は、いつまでたってもMBA学習をスタートさせることは出来ないでしょう。
こうした事態を避けるためにも子供の頃から英語に親しんで準備させておく事は、将来の教育においても、また将来のキャリアアップにおいても、高い汎用性のあるステップにつながると考えられます。「いざ鎌倉」ではありませんが、その時に備えて子供のために「今」親が英語の学習機会や環境を整えておくのは、確かに将来の大きなアドバンテージになるでしょう。
インタビュー後の感想
喜多元宏氏は、大学を卒業後に世界各国でビジネス経験積んだ後、40代でフランス、グランゼコールでMBA取得、50代で東京大学大学院修士号取得、そして現在も欧州の大学で博士課程学位取得のためDBAコースに参加し学びを続けておられます。こうした学びを続けるその根本的基盤には、学生の頃から積極的に学んできた「英語」がバックグランドとしてあることを、インタビュー中の随所でお聞きし納得しました。
特に興味深かったのは、喜多氏は、英語を勉強として単に学んでいたのではなく、英語で実際にコミュニケーションすることを目的として、学生の頃から英語を学んでおられたという事でした。英語を習得したことが海外でMBAを取得することにつながり、さらには現在も欧州の大学の博士課程(DBA)で学び続けることの原動力になっておられるように感じました。
「英語ができなかったら、仕事を辞めてまで海外で学ぼうなんて思いもしなかった」と喜多氏は言っておられましたが、やはり英語スキルがその転機に大きな影響を与えており、ビジネスにおいても非常に大きなアドバンテージになっています。
今後、日本はグローバル社会を目指して学校教育における英語の学習方法も大きく変わっていきます。教育が変わるという事は、仕事におけるキャリアパスも変化してゆくということを意味しています。就職やその後のキャリア形成において、英語ができるということが重要なポイントになるのは間違いなさそうです。
喜多元宏
国境を超える高等教育ビジネスの第一人者
元英国国立ウエールズ大学MBAジャパンプログラム代表
元University of Wales validation board Representative in Japan
元フランス・グランゼコール国立ポンゼショセ校MBA副学長補佐官
世界40カ国でビジネス経験(建築関連、人材関連、欧州委員会関連等)
東京大学大学院修了 修士 (工学、教育)MBA
論文
「グローバルな高等教育認証機関の考察」
「高等教育の国際化におけるクロスボーダー教育の発展と課題」
MBAプログラム
「世界に通用する英国MBA学位」を日本国内最短で取得できるビジネススクール。
「PGDBMプログラム」「MBA top-upプログラム」を修了することで、英国国立アングリア・ラスキン大学MBA学位が取得できます。
http://hkiba.net