専門家の先生による、英語教育に関する記事

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今回の玉川大学 佐藤 久美子先生のエッセイでは、韻を踏むことで英単語が覚えやすくなることを、歌詞を一例にご説明いただきました。
また、『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』コーナーでは、「子供との英語のやり取りはどのようにするのがいいの?」というご質問にお答えしています。子供への接し方の参考に、ぜひチェックしてください!

「韻を踏む」という言葉を聞いたことがありますか?
例えば、bedとred。これは脚韻といって、各単語の終わりに同じ音が繰り返されています。他にも、lockとclock、kingとsingも脚韻を踏んでいます。
以前、「どんな歌がことばの学習に効果があるの?」では、歌の歌詞で、韻を踏むと記憶に残りやすいというお話をしました。例えば、以下の歌詞では「踊る」「回る」「作る」「みてる」という具合に、すべて「-る」で終わっています。この歌詞は、子供にもママたちにも評判がよかったです。


バナナ踊る

たまご回る
ママプリン作る
ほら、パンダもみてる
大好きさ、みんなで食べようよ

同様に英語でも、以下のようにcat, hat, mat, batが脚韻を踏んでいるとリズミカルになり、歌詞も覚えやすいです。


C-A-T spells CAT.

H-A-T spells HAT.
M-A-T spells MAT.
B-A-T spells BAT.
(DWE Book 1 p.51 "The Spelling Songs"より)

単語も同様に、韻を踏んだ単語を探したり、口ずさんだりすると、ゲーム感覚で単語を覚えることができます。

DWEのミッキー・マジックペン・セットのファン・ウィズ・ワーズ絵本では、韻を踏んだ単語が紹介されています。
ママやパパも、次の単語と同じ脚韻を踏む単語を考えてみましょう!


man -----

tomato -----
dry -----
wiggle -----
(Fun With Words 3 P42より)
※答えの例:上からpan/potato/cry/giggle

そして、単語が言えるようになったら、書いてみます。
下記のように、一工夫して、自分だけの単語帳をつくるのも楽しいですよ!

・manとpanがペアなので、並べて書いて、下にイラストも描く。
・aからzまでのページを用意しておき、manを覚えたので、mのページに書く。
・potatoを覚えたら、わざと真ん中のaは抜かして書いて、後で言ってみる。

英語は、最終的には言えるだけではなく、書いてみると定着しますよ。


また、アメリカでは、「スペリング・ビー」という大会があります。
最初に、単語を声に出して言ってみて、次に、スペルアウトするのです。
アメリカやイギリスの子供たちは、このようにして単語を覚えます。
クラスの中でチャンピオンを決め、学年のチャンピオンを決め、他の小学校と競う、などという大会もよく開かれるほどです。

このように、まずは声に出して言って、それから書くという作業に入ると、確実に単語が定着して、大人になってもその単語は忘れません。

小学校の中・高学年になったら、Bob Booksの本もおすすめです。


Tex had a big hat.

Max was a cat.
Rex sat on the hat.

というように、脚韻を踏んだ単語で文が成り立っているストーリーです。
イラストもかわいく、アメリカの子供たちに人気です。

これを声に出して読んでから、ノートに書いてみると、単語も自然に覚えられます。

このBob Booksのシリーズは、単語のレベルの応じてたくさん出版されていますので、お子さまの年齢やレベルに応じて選んでみても楽しいと思います。

『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』
第25回:子供との英語のやり取りはどのようにするのがいいの?

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◆DWEユーザーの方からのご質問◆
園で同じクラスの子のお母さんが「りんごは?」と聞いて「apple.」と、日本語で質問をして、英語で答える様子を見ました。このような場合、英語で質問した方がいいのではないか、とふと疑問になりました。
逆に英語の質問に日本語で答える場合があります。その場合「It's an apple.」など、親が英語で行った方がいいのでしょうか。また、どう対応していくのがよいのでしょうか。

◆佐藤先生のご回答◆
"What color do you like?" とママが聞くと、"Red."と子供が答えます。
「何色が好き?」と子供が聞くと、ママは"I like pink."と答えます。
"Do you like monkeys?" とママが聞くと、 "Yes!" と子供が元気に答えます。

ママと子供の会話を聞いていると、やはり、こんな感じに日本語と英語がミックスしていることも多いようですが、英語で聞くと、英語で返ってくる割合は高くなります。
そこで、ママが確実に覚えていて、使える英語は積極的に使ってあげてはどうでしょうか?また、子供が日本語で答えたら、"Oh, you like monkeys!"と、英語でさりげなく応えます。

逆に、子供が聞いてくることがあります。"Brown bear, brown bear, what do you see?"とママが本を読むと、「"What do you see?"って、何ていう意味?」
その時は、日本語で「何を見ているの?という意味よ。」と答えてあげましょう。

子供は確実に聞き取る力が上がるので、よく使う表現は、英語で聞いてあげるとよいと思います。


佐藤先生近影

佐藤 久美子先生

玉川大学大学院 教育学研究科(教職専攻) 脳科学研究所 教授。
長年、子供の言語獲得・発達の過程を研究し、研究から得られた科学的知見を外国語としての英語教育に応用し、指導法や教材開発を行う。
2016年の3月まで、NHKラジオの「基礎英語3」の講師を通算8年務め、テキスト執筆や番組のプログラムに知見を活かす。さらに、2012年度からNHK eテレの「えいごであそぼ」、「えいごであそぼwith Orton」の総合指導を担当。

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