英語教育に関するニュース

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今年の全国学力調査は、英語は初めて4技能目の「話す」を含めた実施となりました。
各技能ごとの結果を見ると、「聞く・読む・書く」の3技能に対し、今回初めて行われた「話す」の正答率は最も低いものとなっていました。
今回の結果を踏まえ、今後どのような授業を行っていくべきか議論されています。出題例や専門家の評価とともに新聞記事から見てみましょう。


英語 発信力も基礎も不足

中3学力調査

「話す」正答3割 4技能最低
中1で習う「三単現」 正答3割

全国学力調査で中学3年を対象に初めて実施された英語の結果が7月31日に公表され、「聞く・読む」に比べ「書く・話す」に課題が現れた。専門家は「発信力を上げる必要がある」と指摘するが、文法問題でつまずいている生徒もおり、「まずは基礎を身に着けることが大切」という声も上がった。

東京都の区立中学校で英語を教える50代の教員は調査結果を受け、「日常で使える英語が身についていない」と感じた。「聞く・読む・書く・話す」の4技能を重視する文部科学省は今回、パソコンを活用して「話す」のテストも実施したが、平均正答率は4技能で最も低い30.8%(参考値)。先生と生徒のやりとりをふまえ、即興で質問する問題は、10.5%にとどまった。

●全国学力調査で出題された英語の「話す」問題から●
―――会話を聞いて即興で質問できるかをみる

『あなたは、ユイコとアラン先生と話しています。まず、ユイコとアラン先生が、2人で話している場面から始まります。その後、あなたが尋ねられたら、2人のやり取りの内容を踏まえて、会話が続いていくように英語で応じてください。解答時間は20秒です。それでは始めます。』

※コンピュータ画面により、出題に出てくる家族写真の内容がイラスト画像で表示される。

A: Look at this picture of my family.
A: This is my favorite picture.
Y: Nice! Who is she?
A: Oh, she is my mother, Nancy. And he is my brother, Tom. He can cook very well.
Y: I see. What kind of work does your mother do?
A: She is a teacher.
A: Do you have any other questions about them?

正答例
What kind of food does your brother cook?

この教員は「子供たちは普段、『あの人、イケてる』とか『彼氏は、彼女は』という会話をしている。もっと身近で使いたくなる英語を授業で教えるようになるといい」と語る。

一方、「話す」のテストで、将来の夢を30秒で語る問題は正答率が45.8%と高く、無解答も少なかった。小学校の外国語活動の教材で習っている内容でもあり、文科省は「言語活動の積み重ねの成果」とみる。

東京都の中学校英語教育研究会メンバーの教諭は調査の出題を通じて「自分の言いたい事を、話したり書いたりする『発言力』を育ててほしいというメッセージを感じた」という。「自分の考えを発信するにはさらに時間が必要。コミュニケーション活動のなかで繰り返すことが重要だ」と話す。

大学入試でも「4技能」を測るための改革が進められている。導入の議論にかかわった吉田研作・上智大言語教育研究センター長は、「全体的に発信型の問題の正答率が低く、課題がある。発信を意識した授業が必要だ」と分析する。

「発信の前に、基礎の定着が必要」という意見もある。北陸地方の公立小中学校で英語を教えてきた教諭は「中1で習う内容が出来ていないことに衝撃を受けた」と語る。

「書く」のテストでは、ある女性の出身地を聞く問題の正答率が54.3%だったのに対し、現在住んでいる場所を聞く問題は33.8%。後者は「She lives in Rome」などと書く必要がある。「lives」の最後の「s」は「三人称単数現在時制(三単現)のS」と呼ばれる英語の基本だが、誤答が多かった。同教諭は「まずは基礎基本を身に着けないと。『なんでもいいからしゃべる』という活動では力がつかない」と指摘する。

英語教育に詳しい鳥飼玖美子・立教大名誉教授は、「簡単な接続詞を間違えるなど、文章を論理的にとらえる基礎的な力に課題がある」と言う。「基礎力を問う出題がもっと必要で、次回に向けて出題のあり方も再検討すべきだ」と求める。


貞国聖子 記者/氏岡真弓 編集委員

小中一貫・習熟度別
現場は授業工夫

英語の「聞く・読む・書く」の全国の公立中の平均正答率は56.0%で、地域間に大きなばらつきはなかった。ただ、文科省は「授業改善を進めている地域では平均正答率が高い傾向にある」とみている。

平均正答率が約62%で全国トップだったさいたま市は「グローバル人材の育成」を目指し、小1から中3まで一貫したカリキュラムを2016年度から設けた。中学での英語の授業時数も、国の基準より年間17コマ多い。市教委の担当者は「取り組みが生徒に有効に伝わっているのでは」と語る。

東京都(平均正答率59%)や神奈川県(同58%)、横浜市(同60%)なども正答率が高かった。文科省の担当者は「授業改善に加え、授業以外で英語に触れる機会が多いことも理由の一つではないか」と語り、外国人や英会話教室の多さなども影響している可能性を指摘する。

東京都教委では、英語を少人数で習熟度別に指導するガイドラインを14年度に作り実践している


三島あずさ、山下知子 記者


朝日新聞 2019年8月1日付 社会面 

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