ディズニー英語システム TOP > 乳児・幼児からの英語 > 英語教育に関するニュース > 子供を信じて探究心を育てよう~日本初の塾ソムリエ・西村則康先生インタビュー~

英語教育に関するニュース

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プロの家庭教師として、関東、関西の名門中学校に多くの生徒を入学させている西村 則康先生。
日本初の「塾ソムリエ」としても活躍し、中学受験や育児、幼児教育に関する著書を多数残しています。そんな西村先生に幼児期に大切なことや、中学受験についてお話を伺いました。


Q1.幼児期の声かけで大切なことは何でしょうか?

Q2.自分が子供のころに嫌だったことはしない、ということなんですね。

Q3.親が「うちの子だから大丈夫」という自信を持つと、子供はどう変わりますか?

Q4.幼児期にやっておいた方が良い体験はどんなことでしょうか?

Q5.勉強量が少なくても勉強ができる子の共通点は何でしょうか?

Q6.先生は御三家とよばれる私立中学校に大勢の生徒さんを入学させていますが、先生が感じる御三家の良さはどういうところにあるのでしょうか?

Q7.小学校に入るまでに学習しておいた方が良いことはありますか?


Q1.幼児期の声かけで大切なことは何でしょうか?

「褒める」「認める」「ちょっと我慢させる」が大切で、この3つはそれぞれ関係しています。
例えば、我慢させるときに、まずは我慢しようと努力していることを認めてあげるのです。
「我慢しようとしているのね。お母さんにもそれが伝わっているわよ」と、声をかける。そして、我慢した結果に対しても褒める。

こうしたことは、幼児期だけでなく、中学受験を控えた小学6年生にも有効です。受験学年ともなれば、勉強しなければいけないことはよくわかっています。でも、義務感だけで努力できる子供はまずいません。
勉強しなければ、と思っているのに、「がんばりなさい」と言われたら反抗的な気持ちになるのは、ご自身の経験からもわかるのではないでしょうか。
努力しようと気持ちの面で頑張っていることを認めてあげる。これは非常に重要なことなのです。

そのために大切なことは、お母さん自身が小さいころから今までのことを思い出すことです。お母さんだって、やろうと思っていたときに「勉強しなさい」と言われて、やる気をなくした経験をお持ちでしょう。
その経験を生かすのです。

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Q2.自分が子供のころに嫌だったことはしない、ということなんですね。

子供は親のDNAの半分をもっているわけですから、親が子供のころに思ったことは、かなりの確率で当てはまるものです。
子育てや受験勉強は、子供にとってだけではなく、家族全体が成長する機会にもなる大きなイベントです。子供を育てながら、実は親自身も育つのです。
子育てや受験対策をしながら、親は「自分が今、こういう人間になったのは、一体なぜだろうか」と自己分析をする機会が増えます。自分を育ててくれた親のことを思い出してみてください。深い感謝の念が湧き上がってくることを感じるでしょう。

子育てをしていると、自分が「親」であるという気持ちが前面に出ますが、親になる前はあなたも両親の子供でした。あなたのご両親も、あなたの幸せを願っていたにちがいありません。
こうした長い血のつながりというものも、思い出してほしいですね。
そして、「うちの子だから大丈夫」という根拠のない自信をもちましょう。講演会で話すと、「うちの子だから心配だ」と言われてしまうのですが (笑)、根拠がなくていいのです。

さまざまな情報が出回っているためか、今のお父さん、お母さんはとかく他の子供と比較してしまいます。比較する心の底には、不安を感じる世の中であることも影響しているでしょう。「うちの子は順調に育ってくれるだろうか」という不安が常にあるようです。

しかし、「親がなくても子は育つ」と言われているのは、ある意味真実だと思います。あなたの子供にも、ちゃんと育つための強固なプログラムが備わっています。そこを信じることです。

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Q3.親が「うちの子だから大丈夫」という自信を持つと、子供はどう変わりますか?

「うちの子だから大丈夫」という信頼があると、親が子供を見る目がソフトになります。また、先ほど話したように自然な形で自分の来し方を振り返っているお母さんは、表情が穏やかなことが共通していると感じます。
このように、気持ちが平静に保たれているお母さんが子供に明るく接することで、子供は安心してその場で取り組んでいることに熱中できるようになります。
この熱中力というのは、受験においても重要です。特に最上位校を受ける際はどうしても必要になる能力です。

例えば、活字を読むのは嫌いだけれど、図鑑を見るのは好き、というお子さんは結構多いです。そのときに、「また図鑑ばっかり見て。先にこのドリルをやりなさい」と中断させてはいけません。必要なのは、子供が夢中になっていることを微笑ましく思いながら、見守ってあげることなのです。
そうすると、子供の居場所ができます。子供としては、自分がやりたいことやるのを認めてもらえるわけですから、安心してやりたいことに熱中できるのです。

また、子供は何かに熱中しながら自然と思考訓練をしているのです。つまり、目や耳から入ってくる信号に対して、脳が動き始めるのです。
例えば、「この形は前に見たあれと似ている」と類似性に気づいたり、「なぜこうなるのか」と原因を探って因果関係に気づいたり。その時点ではそこに至らなくても、幼児期の見た、聞いた、触ったという経験が残り、別のものを見たときにふいに思い出したりするのです。

こうした経験をあとから特別に訓練しようとしても、だいたいが失敗します。
受験を例にあげると、成績の良い子供でも立体図形が苦手な子がいます。立体図形は受験によく出るので、立体図形の問題集を買って来て子供にやらせたりするお母さんもいますが、子供の苦手意識を取り除くにはもっといい方法があります。
小さなときからお母さんのお手伝いをして野菜を切ったことがある子は、立体図形に苦手意識を持ちません。受験期でもまだ間に合いますので、立方体に切った人参や大根を子供に自由に切らせてみてください。切り口を確認することで、子供は自然に立体図形を理解できるようになります。体験させることが大事なのです。

Q4.幼児期にやっておいた方が良い体験はどんなことでしょうか?

芸事は早い方が良いといいますね。理科の授業で、「ハ長調のラは440Hz(ヘルツ)なんだよ」という話をしますが、幼いころからピアノをやっている子はラの音を出すことができる。ラの音を聞く耳と、それを再現する喉が訓練されているのです。このように体を使うものは早い方が良い。これは英語も同じでしょうね。

また、せっかく幼児期にはじめたとしても、継続するにはお母さんの頑張りが必要です。どのような頑張りかというと、「朗らかさ」なんです。明るく、和やかに、そして子供と一緒に何かする。そういう積極的な関わりが大事です。

お父さんもお母さんも忙しい毎日ですから、休日は休みたいことでしょう。でも、子供を動物園に連れて行ってもあげたい。そこで「ここに座ってるから見ておいで」なんてことになる。でも、子供と一緒になって「あそこにパンダがいるね」「あの猿は何をしてるのかな」と言って楽しむ。そういう積極的な態度が子供の興味を広げたり、熱中させることに役立ちます。

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Q5.勉強量が少なくても勉強ができる子の共通点は何でしょうか?

子供のころから本をよく読む子と、「なぜ?」と聞き続けている探究心がある子は、勉強量が少なくても勉強ができるものです。では、探究心がある子供を育てるにはどうしたらよいか。

探究心は自然には生まれません。これも学習なのです。お母さんが「空って青いなぁ。なぜかな」と独り言をつぶやいて、子供に聞かせる。身の回りのことに疑問を感じていいんだ、という雰囲気を作り出して、子供に学習させるのです。

「なぜ、なぜと聞かれると困る」というお母さんもいますが、お母さんが答える必要はありません。「いいことに気がついたわね。お母さんにもわからないわ。一緒に考えてみましょうか」と言うのでもいいし、「じゃあ、あなたの頭の中に置いといて。何かわかったら教えてね」としてもいいでしょう。
子供の頭の中に「はてな」をいっぱい作っておいてあげる。これが探究心のもとになるのです。

読書に関しても、家庭の雰囲気が大切です。子供のころは本を読むのが好きだったのに、次第に読まなくなったというのは、ご家庭に本を読む人がいないからです。リビングに書棚を置き、お子さんの絵本や図鑑、お父さん、お母さんの本も一緒においておく。

幼児期に絵本を読んでいる子は、物語文を読んだときにその情景を頭に描くことができるので、受験でも難しさを感じません。文字に対する知識がない幼児期では、絵や動画に惹きつけられます。そこで、そのシーンに描かれていることを子供と一緒に話す。それが大切なんですよ。

Q6.先生は御三家()とよばれる私立中学校に大勢の生徒さんを入学させていますが、先生が感じる御三家の良さはどういうところにあるのでしょうか?

まず、先生のレベルが高いことがあげられます。入試問題を見ても、例えば麻布中学の理科では因果関係を深く洞察させるような問題を毎年新しく作ります。それだけでも信じられないような能力です。
指導内容のレベルも高い。高3の時点で、大学の教養課程での数学を学びます。
また、先生が教えるというよりも、生徒どうしが議論し、先生は議論の方向づけをするだけという現在多くの学校で行われはじめたアクティブラーニングが、もうだいぶ前から実施されているのです。
大学入試改革で、表現力が求められるようになりますが、御三家ではこれまでも議論を通して学んできているので表現することが可能です。いかに大学入試が変わっても、御三家なら怖くはないでしょう。

※御三家:
中学受験の世界における御三家とは、伝統的に難関大学進学率の高い私立中高一貫校をグループ化して指す言葉。
男子御三家として開成・麻布・武蔵、女子御三家として桜蔭・女子学院・雙葉がまとめて紹介される。

Q7.小学校に入るまでに学習しておいた方が良いことはありますか?

幼児期というのは母語としての日本語に慣れ、細かいところまで理解することが大切です。例えば「てにをは」は、どういうときに「は」を使うのかというのを説明するのは大人でも難しい。しかし、子供は親が使っている言葉を聞いて、「この場合は『は』だな」と身につけていきます。
つまり、親の言語能力が試されてしまうのです。

もし、日本語能力に自信がないと思っていても心配はいりません。「てにをは」をつけて喋ることを意識してください。家族の間では「ティッシュ」と言っただけで通じるので助詞も動詞も省略しがちです。そこをちゃんと「ティッシュを取って」と話すのです。

また、会話というのは言葉の意味を伝達するだけではありません。意味情報だけでなく音声情報も付帯し、感情を伝えたり共有したりします。だから横向きで喋ってはいけない。子供の方を向いて話し、子供にも目を見て話させる。

文字も入学前にきれいに書けるようになっているといいですね。でも、「もう○歳なんだから、ひらがなが書けないとだめよ」というように義務感に訴えかける言い方は失敗します。
「あなたは手先が器用だから、ひらがなもきれいに書けるんじゃないの」と導き、お絵かきの延長で最初は大きく書く。「さすがね。お母さんお思った通り上手ね」と褒めて、次第に形を整えていくのが良いでしょう。

受験も子育ても、「こうあるべき」というべき論で子供に接すると、あまり良い結果は得られません。
今よりも一歩前に進むためには何が必要なのかを都度考えて行きましょう。
そして、子供が一歩でも進めた努力を認めてあげるということを繰り返していくのです。

まとめ

幼児期にとって大切なことは、お母さんが朗らかな気持ちで、子供が熱中することを見守ること。子供にとっては熱中することが何よりも大切なことだと西村先生はおっしゃいます。
また、こうした熱中力や探究心は特訓させて無理に身につけさせるものではなく、親が子供を信じる中で育まれていくというお話にはとても感じ入りました。
子供らしい「なぜ?」の気持ちを育てていくことが、後々の受験でも大きな力を生むようです。


西村先生5

プロフィール 西村 則康(にしむら のりやす)

プロ家庭教師集団・名門指導会代表、中学受験情報局主任相談員、塾ソムリエ。
40年にわたり、難関中学、高校受験の指導を行ってきた家庭教師のプロフェッショナル。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。
また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。

※参考リンク:■中学受験情報局

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