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英語公用語化で優秀な人材確保ねらう日本企業

1999年、日産がルノーの傘下に入り、外国人のトップに変わったことで社内の公用語が英語になりました。それに続き、楽天が公用語を英語にすると発表したのは2010年のことでした。外国資本が入っておらず、トップも日本人の企業での英語公用語は当時珍しく、楽天の事例は大きく取り上げられました 。同年、カジュアル衣料ブランドのユニクロを展開するファーストリテイリングも英語公用語化を発表し他の企業へも広がりを見せていきました。
大手企業は海外に拠点を置いていることが多く、英語を社内の公用語にすることで優秀な人材を確保しようとする傾向は特に強いようです。
英語公用語化を実施している代表的な企業の事例から、そのねらいをひもといてみましょう。

英語へのチャレンジで、失敗を恐れなくなった

英語を公用語にしたのはなぜでしょうか。楽天は、「世界一のインターネット企業になる」という目標を掲げており 、そのためには英語公用語化が欠かせないと考えたからです。同社では、2010年に英語の公用語化を発表し、2012年7月から正式に公用語を英語にしました。社員には、シンプルな英語による積極的にコミュニケーションをとることをすすめるとともに、TOEICを指標として取り入れ、人事上のグレードにあわせて目標点数を設定しました。英語力の向上はもとより、継続した学習のためにはTOEICで点数があがることが励みになるという考えからでした。

こうした取り組みの成果として、ある社員は、英語にチャレンジすることで、仕事においても失敗を恐れなくなり、躊躇しなくなったと言います。
また、もう一つの英語公用語化の目的として、「世界中の優秀で多様な人材の積極的な採用」を楽天は狙っていました。その結果、2014年に採用したエンジニアのうち、外国籍の社員は81%にのぼりました。また、英語を公用語にすることによって世界での信用を創出、海外文化のすり合わせが捗り、Viber、Viki、Koboなどの企業買収も成功しました。

現状、同社ではほとんどのポジションでTOEIC800点以上を基準としています。
同社では国籍や性別にかかわらず力を発揮するダイバーシティの実現により、世界中のユーザーの多様な要望に応えていくとしています。

柳井 正 社長「英語が話せないと、将来ビジネスができなくなる。」

ファーストリテイリングは、カジュアルウエアブランドであるユニクロ、GU以外にも、セオリー、プラステ、ヘルムート・ラング、コントワー・デ・コトニエなど、8つのブランドを世界中で展開しています。このように世界中に販売網をもっている同社が、社内でも英語を公用語としてグローバル化をすることは必然的な流れでした。

同社では、店長クラス以上は会社が提供する英語プログラムへ参加ができ、海外赴任する社員には、赴任前に語学レッスンや文化研修を含めたプログラムの受講が義務付けられています。また、同社の柳井 正 社長は、ソフトバンクグループの孫 正義 社長との対談形式でおこなわれた2012年のソフトバンクアカデミアで、「経済に国境がなくなってきており、日本でも英語が話せないと、将来ビジネスができなくなる。英語はビジネスの道具です」と語り、英語の重要性を強調しています。

本田技研工業は役職者に英語力を求める方針

ファーストリテイリング同様、グローバル市場での積極的な事業展開を行うために英語を公用語とすることを決めたのが本田技研工業です。同社は2015年のサステナビリティレポートで、2020年を目標に「英語公式言語化」に取り組むと発表しその一環として英語力強化のための学習プログラムの充実を図るとしています。

また、将来的には、役職者になるための認定要件に英語力を加えることを計画しています。というのも、同社の売上収益構成は、北米54.4%、アジア22%、欧州4.6%で、日本は12.9%。従業員数も、211,915人のうち、日本は64,694人と約3割なのです(2016年度)。日本における新卒採用でも、グローバル採用を取り入れ、人材の多様化を推進しています。

これらの企業以外でも、COOやCFOに外国人を迎えた武田薬品工業は一時期、職種によって新卒採用の応募条件としてTOEIC730点以上の基準を設置。三井住友銀行では総合職の全行員にTOEIC800点以上を目指すよう促したことが報じられました。また、管理職への昇格要件にTOEICの基準を設置している企業もあり、TOEIC600点を役職クラスの条件として設けている企業が目立ちます。今まで以上に目に見える形での英語力を求める企業が増えています。

上記で紹介した事例のように、採用や昇進の際に英語力が重視される傾向は、日本国内で働く場合でも強まっていきそうです。

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